第33話 終わった後も楽じゃない
食事のあとはいきなりハード。
左側の崖のような岩場を右に左にと這い上って滝を迂回する。
ちゃんとロープでいざという時の為に確保はしている。
でも高さ感がかなりあって非常に怖い。
ただ、その後はしばらく大きい滝のない区間が続く。
その代わり鉄の何かレールのような構造物があちこちを走っていたりする。
人工の小さな池みたいなのが連なる場所もある。
「これはワサビ田で、このレールは農業用のモノレールです」
「こんな細いレールをモノレールが通るんですか」
「モノレールと言っても横幅が一メートルもない小さいものですね。山間部や、あと密柑山などでよくみられます」
先生らしい解説を受けながら川を更に遡る。
難しい場所は無いけれどコケ生えまくり。
注意しないとこける。
滝も小さい物ばかり。
一回だけ2階くらいの高さのがあった程度だ。
よいしょよいしょという感じで結構登っただろうか。
また高い滝に出た。
ここまで来ると水流も大分細い感じだ。
「ここもちょっと状態が悪いですね」
という事でここも大きく迂回。
そして更に二つ連続で滝を巻いた後で。
「これが最後の滝になります。ここは最後だから思い切って中を突破しましょう」
と言われたのは何か岩の隙間のような場所だ。
最初の三段の滝と同じように先生がさっさと登っていって、そこから一人ずつ。
最初は勿論佳奈美だ。
「うっ、ここはカニさん歩きだ」
とか、
「ひいっ、ちょっと遠い」
という佳奈美の声が岩の間から聞こえる。
ただ声が少しずつ声の位置が高くなっていくので順調には登っている模様。
そして。
「さあ、次の方どうぞ」
とロープが下りてくる。
先輩はこういうところは細長い分有利。
そして雅は無限の体力があるようであっさり。
そして最後は僕の番だ。
岩の隙間からちょっと潜る感じで進む。
すると水が流れている右側にいかにもちょうどいい感じで足場がある岩があって。
これはなかなか楽しい。
ほどよく難しくでも難しくもなく。
気分良く上に出たところで。
「お疲れ様でした。これでほぼ沢登り部分は終了です」
と先生の言葉があった。
全員ほっと一息。
ただ、帰るにも道らしき物は見えない。
「帰りはどこからなのですか」
「ちょっとだけこの斜面を登れば道に出ます」
先生の視線の先はただの森の斜面。
道なんてものは全く見当たらない。
「沢を登りつめた後はだいたいこんな感じですよ。藪漕ぎでないだけましです」
そう言って先生は全く道ではない部分に突入する。
仕方ない。
先輩を含めた僕らは一度だけ顔を見合わせ、そして先生の後を追って道無き林の中を登り始めた。




