第32話 訓練中の食事風景
「うー、これはこれなりになかなか美味しいのです」
高い粗挽きソーセージと煮卵、メンマ、わかめ、チーズ入り。
そんな豪華インスタントラーメンをすすりながら佳奈美は満足そうだ。
なお予定より具材が多いのは佳奈美の仕業、彼女がコンビニで色々追加食材を購入したからである。
いつもは余分な事ばかりする彼女だが、今回のこれはナイスプレーだ。
「ずっと濡れていましたから体温を結構奪われましたしね。こういう時は温かい食べ物が美味しいです」
とは先生。
僕もラーメンを口に運ぶ。
佳奈美の言う通りだ。
たかがインスタントラーメンだがこういうところで食べるとなかなか美味しい。
なお雅はラーメンを食べながらたき火奉行をしている。
放っておいても大丈夫なのだが手入れせずにはいられないらしい。
たき火を起こすのは難しいとネットではいわれているようだ。
でも先生は慣れた感じであっさり作ってしまった。
方法は割と簡単。
乾いた枯れ木をナイフでしゃっしゃと毛羽立て感じにして火をつきやすくする。
次にガスバーナーの上で火が安定するまで炙る。
あとはその木をうまく囲めばたき火完成という訳だ。
「ちょっとバーナーが汚れることもあるけれど、この方が早いですからね」
とは先生の弁。
「こういう処でのんびりするのもいい感じですね」
雅がたき火をいじりながら言う。
「でも暗くなったら脱出不可能だよな、ここは」
先輩の言うことももっともだ。
何せ道らしい道は全く無い。
今登ってきた川を下りるのもきっと不可能。
滝とか色々障害が多すぎる。
「昨年のワンゲル新人歓迎合宿、一日目はこんな感じの処で一泊でしたね。同じようにたき火をして。でも御飯はこんなに良くなかったですね。つい私のいつもの調子で菓子パンのみにしてしまって。でもこうやって温かい食べ物があるのはいい事だと思います」
確かにこのラーメンの温かさ、結構いい感じだ。
これで冷たい菓子パンのみだとテンションも下がるような気がする。
「自分一人の山行の時は面倒なので、全部菓子パンとかチーズそのまま食べとかです。大学時代は作るのが得意な友人がいたので全部任せていましたけれどね。自分でやると御飯は芯が出るし麺類は汁を捨てられないしで。でもこうやって汁を薄めに少なめに作れば大丈夫なんですね。飲み干せますから」
小暮先生ともし結婚する相手がいるなら、料理が出来る必要がある。
そうでもなければ恐ろしい家庭の食卓になりそうだ。
そんな感じでラーメン五人前は綺麗になくなる。
「うーん、いい感じなのです。ちょっと今すぐは動けないのです」
佳奈美の台詞に先生は頷いた。
「今燃えている木が燃え切ったら再スタートにしましょう。あまり遅いと後が色々大変ですから」




