第31話 この時間までが長かった
そんな感じで三段の滝の二段部分までを登る。
その上の滝は斜めにロープを張って通過した。
更に上は水量が多そうな滝壺がある斜めの滝だ。
「気温がもう少し高ければ泳いで上れるんですけれどね。今日はまだそこまで気温が上がっていませんから巻きましょう」
という事でこれはパス。
やってみてわかったが、一番大変なのは佳奈美だ。
足の長さや腕の長さが短いので、支点の範囲がどうしても狭くなる。
段差ひとつをとってしても足の角度が違うのだ。
でも何とか次々と先生の後をついて沢を登っていく。
岩と岩の間に水が流れている処を抜けたりもするので、もう全身ずぶ濡れだ。
先生以外の全員、ブラの跡というか服が透けている。
近くだとブラ丸見え状態だ。
おかげでとっても視線に困る。
本人達は全く気にしていない様子だけれども。
Tシャツというのはあまり良くない選択だったようだ。
先生のようにちょっと厚めで濃い色のポロシャツが正解なのだろう。
ただ沢登り自体はなかなか楽しい。
気持ちよく進んでいると大きい滝が出てきた。
今までの滝より高さが倍以上ある。
「この滝と次の滝は直登は無理。だから大きく迂回します。その先しばらく行って、その次の大きい滝でお昼御飯にします」
と先生。
踏み跡とか赤いテープだとかを目印に斜面をずるずる横方向へと登る感じで通過。
その先はしばらく平和な感じになる。
滝もせいぜい三メートル程度。
「こういう処は練習のため直登です」
先生の方針に従って、水を被りつつガシガシと登る。
そろそろ気温も上がってきたので水をかぶるのもまた心地いい。
そんなこんなでちょっと高めの滝の前に出た。
「ここで御飯にしましょう」
先生がそう宣言。
「先生と朗人君とで食事の準備をします。
他の人はたき火準備です。燃えそうな木をこのあたりに持ってきて下さい。そんなに大量に燃やす気はないので数本でいいです」
「やっと休憩なのです」
佳奈美がその場にへばりついた。
相当疲れているらしい。
元々体力がないのに身体が小さい分一番きつい動きをしているのだ。
無理もない。
神流先輩も結構お疲れの様子だ。
そして雅は全然疲れた様子がない。
こいつ結構体力あるな。
さて小暮先生はザックを下ろし、中から色々と食事グッズを出す。
鍋、鍋の中に入れた食器類、同じく小さいガスバーナー、黄色いガスボンベ、ラーメンとかが入ったスーパーの袋、水のポリタンク。
黄色いガスボンベの蓋を開けてタバコの箱サイズの袋に入ったガスバーナーをボンベの溝にねじ込み、すっとゴトク部分を広げるとちゃんとしたガスバーナー一式になった。
「小さくて便利ですね」
なかなか良く出来ている。
「私は山に行く時ソロが多いですから。自分用は出来るだけ軽く小さい装備です」
先生はそう言いながら鍋に水を入れ、ウエストポーチから軍手とライターを出す。
「それでは調理の方は任せますよ」
「はい」
僕はスーパーの袋を開け、準備にかかる。




