第30話 愛と熱意の指導体制
車に戻り、そして神流先輩を含む僕ら4人はヘルメットの他、ハーネスというものを装着させられる。
要は腰と太ももで支える安全具で、ザイルで安全を確保する時に使うらしい。
先生によるフィッティングの細かいチェックの後、ロープワークの基礎、エイト輪の使い方等を十分ちょいながらみっちり教え込まれる。
そんな訳でやっと行動開始。
さっきお弁当を食べた場所から沢へ。
「うん、なかなかいい感じなのです」
「こけるなよ」
確かに岩によっては滑りやすい。
下手に水際を歩くとコケが多い分滑りやすいのだ。
思い切りよく水流の中を歩いた方がコケが少ない分滑りにくい。
「なかなか気持ちがいいのです」
佳奈美の意見に僕も同感。
靴の中も一度濡れてしまえば怖い物はない。
そんな感じで歩いていくと三段に水が落ちている滝が現れた。
「綺麗な滝ですね」
と雅が呟く。
「これが●沢上部の沢登り事実上のスタート地点、三つ●の滝です。向こうに散策路の階段があるのでこの滝を巻くのも簡単なのですけれどね。折角沢登りに来たのですからここは直登しましょう。
そういう訳で、まずはロープの確保をしてきます。先生の登るルートを見て、自分ならどう登るかここでしっかり考えて下さい」
先生はそう言ってザイルだのシュリンゲだの装備色々だの背負ったまま滝の左側の壁のような岩をひょいひょいと登って行ってしまった。
速すぎて全く参考にならない。
二段上まで登った後、上の滝を観察し、近くの木にシュリンゲというわっかを通してロープを通す。
そして僕らのいる下までささーっという感じで下降して戻ってきた。
「まあこんな感じです。取り敢えず二段目までですね。小さい順で、まずは佳奈美さんから。
そう言って先生は佳奈美にロープを固定する。
そして僕にロープの端を渡した。
「佳奈美さんが登ると同時にそのロープを引っ張って下さい。注意点はロープが緩まないようにすること。そうすれば万が一佳奈美さんが落ちてもロープの長さの余裕分だけしか落ちませんから。力を入れて引く必要はないですよ。佳奈美さん側のロープは引っ張られたら自動的にそこで固定するよう上で結んでありますから」
「先生は?」
「最初ですので佳奈美さんについていきます」
最初の本格的な登りが開始される。
「はい、そこで前のめりにならない。もっと岩から離れてよく見えるように。前のめりになると余分な力がかかるから足が滑りやすくなるわ。怖さに負けない!」
先生、結構スパルタだ。
「はい次は右手もうすこし上掴んで。そうそう」
佳奈美、ひくひくしながらそれでも着実に登っている。




