第28話 結婚式靴にあらず
行程の途中。
二十四時間営業のSE●YUで食材を仕入れ。
コンビニで休憩がてら弁当を買って。
そして車はどんどんと山奥へ入っていく。
何か微妙な感じのトンネルを抜け、急に道が太くなった場所で車は停車した。
「さて、ここで朝食。でもまずは着替えてね。沢で濡れたり汚れたりしても気にならない服装よ。靴は専用のものを用意したから」
「一応全員、パーカー等を脱げば今日の行動用の服装です」
これは事前に合意しておいた。
いきなり女子高生生着替えなんて目前でされたら目も当てられない。
以前の経験を元にした事前根回しだ。
ちなみに先生もこのまま山に突っ込むぞ、という格好。
「なら靴を履き替えましょう。皆さんのサイズに合わせて用意してきましたから」
という事で、車の外に出て後から荷物を出して履き替え作業だ。
靴は一見ハイカットの登山靴のようだが、靴底が違う。
何か安物の絨毯みたいな繊維が分厚くついている。
通常のゴム底で模様のあるタイプでは無い。
「これが沢登り用の靴ですか」
「ええ。ウェーディングシューズって言うの。この繊維部分が濡れた岩などでしっかりグリップするの。沢登りや釣りなどで使う専用の靴よ」
「ウェディングシューズですか」
雅、微妙に発音が違う。
「それだと結婚式になるわ」
なるほど。
そんな訳で履き替え。
事前にサイズを言っておいたからか、ちゃんとサイズが合っている。
「しかし良くこんなに色々サイズを用意できましたね」
先生は自慢そうな顔をする。
「大学時代なんかの山登りの仲間に声をかけてね。使わなくなったお古を譲って貰ってストックしてあるの。高等部のワンゲルでも使うしね。
他にも色々な装備をストックしてあるわ。うちは家が広いから。
田舎は一軒家でも家賃が安くて助かるわ」
どうも色々、大量に在庫している模様だ。
こういう処はいい先生なんだけれどな。
「うーん、微妙に靴が大きいような気がするのです」
「その場合はこの靴下を履いてから試してみて」
先生はそう言って分厚い靴下を出す。
「それも山用ですか」
「ええ。クッションや保護の一部として普通はこんな靴下を履くの」
なるほど、ワンゲルなら色々参考になるだろう。
学園探検部で参考になるかは微妙だが。
ただこの先、色々楽しみにはなってきた。
ただでさえ緑深い自然満喫という環境。
そして林道から見える沢も水が綺麗だ。
東京都とは思えない。
「それじゃ食事場所に案内するわ。各自弁当を持って」
という事でコンビニの袋をぶら下げて先生について行く。




