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こちら学園探検部 ~別名指輪物語、正確には『ハーレム王と指を指される僕と変人女子高生達の輪による同好会の物語』~  作者: 於田縫紀
第2部 二つの塔 第1章 準備及び前提知識の習得過程

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第22話 女の子の秘密

「実はそんなに難しい事じゃない。現実性が実は動きやすいという話はしただろう。

 伝説とか言い伝えとか古い事物とか。場合によっては噂でもいい。現実性を揺るがすのなんてやろうと思えば簡単なんだ。

 そうやって現実性に揺らぎのある場所が生まれる。

 ヒューム値が一より高かったり低かったりする場所がな。

 そうしてある程度ヒューム値の高低差がある場所が出来てしまうとだ。ああいう代物が勝手に出来てしまう訳だ。さっきのは固有ヒューム値二程度。割と簡単にできてしまう類いの化け物だな」


「でも普通の場所にはそんな物、滅多に出ませんよ」

「出ないと思っているから出ないだけだ。それに実際は色々出ているんだ。単に気づかないだけでな。

 例えば心霊スポットでの目撃談、学校の七不思議。噂や言い伝えで現実性が揺らいでいるからそんな現象が出てしまう。ああいう話のいくつかは実際に発生している訳なんだ。本気で信じる人間がごく少ないだけなんだな」

 何となくそう言い負かされてしまう。


「更にこの学園、設立こそ新しいが噂には事欠かないように出来ていやがる。それっぽい怪しげな仕掛けがあちこちにある訳でさ。

 噂だのそれっぽい事実だのがあれば現実性のゆらぎなんて一段と起こりやすいもんだ。全寮制で集団心理も働きやすいしな」

 うーむ、納得いかないが納得させられそうだ。


「ではこの現実性を図れるヒューム値測定器なんてのはどういう原理なのですか」

「世の中には原理のブラックボックス化というものがあるだろう。例えばコンピュータの動作原理とか」

「あんなのは簡単なのですよ。半導体の説明からがいいですか。それともNAND型回路の説明からでいいのですか」

「わかった。私の説明が悪かった」

 佳奈美の無駄に優秀な頭脳を舐めて貰っては困る。

 というか普段は僕が困らせられているのだが。


「実のところあれについては私もよく知らんのだ。悪い」

「それならそうと言って欲しいのです」

 神流先輩が完全に佳奈美にやり込められている。

「まあそんな訳で、ここには時に化け物も出てくる。まあ地下道までで外に出てきた話は聞いた事が無いけれどな。それはいいか」

「不承不承ながらそれは了解なのです」

 うんうん。


 ◇◇◇


 食事を食べ終わったら部活も解散になった。

「今度の活動は月曜以降に決めよう」

 そう神流先輩は言う。

 そんな訳で僕と佳奈美、雅は学校から寮へと移動中。

 先輩は理化学実験準備室でやりたい事があるそうなので残してきた。

 高等部から学園内道路を渡り、学園内事務局付近まできたところで。雅が急に立ち止まる。

 彼女はちょっとあたりを見回してそして小さく頷いた。

「ひとつ、聞いていいでしょうか」

 意を決したように僕と佳奈美に口を開く。

「何をですか?」

「朗人さんも佳奈美さんも神流先輩の魔法、怖いと思いませんか?」

 雅の顔は真剣だ。


「色々研究したいとは思うのですよ」

 いきなり佳奈美が妙な答を口にした。

 佳奈美としては真面目な答なのだろうけれど。

「本人のプライバシーや権利が色々あるから無理にとは言えないのです。でも研究すれば色々楽しいことが出来るようになると思うのです」

「僕も怖いとは感じないな。あの性格は時に勘弁してくれと思うけれど」

 魔法よりもそっちが問題だ。

 ああ月曜日の朝、どう弁解しよう。


「本当にそう思いますか」

「本当なのですよ」

 僕も頷く。

「なら私も……」

 雅の言葉がちょっとそこで途切れる。

 そして。

「有り難うございました。それではまた宜しくお願い致します」

 雅はそれだけ言って逃げるように生活スペースの方へと行ってしまった。


「何だっただろう」

「女の子には色々な秘密があるのですよ」

 佳奈美のそんな台詞が僕の耳を通り抜けた。

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