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こちら学園探検部 ~別名指輪物語、正確には『ハーレム王と指を指される僕と変人女子高生達の輪による同好会の物語』~  作者: 於田縫紀
プロローグ 旅の仲間~正しくは『幸か不幸か集まってしまった高校生活という旅の仲間』

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第1話 入学式という名の拷問

3月2日から毎週土曜日午前6時に章ひとつずつ更新予定です。

今回はプロローグ部分で13話まで更新します。

4月13日土曜日朝6時に完結予定。約10万字の軽い現代ファンタジー系学園小説です。

 何の因果で……

 そう思いつつ僕、柏朗人(かしわあきと)はパイプ椅子に座っている。

 長い長いお偉いさんの話がBGMがわりだが、決して快適なBGMでは無い。

 勿論そうしているのは僕だけじゃ無い。

 新入生と称する百人強の集団と、教員と言われる三十人弱の大人もだ。

 つまりこれは入学式。

 千葉県の奥地にある秋津学園高等部の入学式だ。

 秋津学園は歴史のある学校法人ではない。

 つい5年程度前に財界等の有志により創立された私立の学園体だ。

 中学から大学まで持つ全寮制の総合学園。

 大学生は寮に入らなくてもいいらしいけれど。


 なんでこんな処に入学してしまっのだろうか。

 その理由というは犯人は僕の場合、明白だ。

 犯人は新入生席の何処かにきっと一見おとなしく座っている。

 奴の名は松戸佳奈美(まつどかなみ)

 彼女は中学の友人というか何というか、まあそういう関係だ。

 外見は身長低い、幼児体型、髪三つ編みお下げ。

 少なくとも恋人とかそんなロマンチックなものではない。

 どんなにひいき目に見ても問題児と世話役といったところだ。


 こいつが進路相談を控えたある日、

「なかなかパフォーマンスがいい学校を見つけたのです。朗人の分も一緒に資料を取り寄せたのです」

とここの学校資料を渡してきたのがそもそものきっかけだ。

「何のパフォーマンスがいいんだ」

「難易度に対する大学合格実績なのですよ」

 確かに人数と難易度の割には有名大学合格数がかなり多い。

 ここの大学部も設立は近年だが難易度は既にMARCH上位並や理●大並だし。

 でも正直、

  ○ 田舎すぎる点

  ○ 全寮制

という点でまずちょっと勘弁して貰いたかった。

 僕は普通の高校生活を送りたかったのだ。

 別に高校デビューしようという訳じゃ無い。

 ごく普通の、ささやかな日常で十分だ。

  ○ 学校帰りにたまに友人とマックに寄る

  ○ たまにクラスメイトとカラオケする

とか程度の、ごくささやかな。


 でもうちの親が佳奈美のセールストークに飛びついてしまったのだ。

 確かにこの学校、

  ○ ぎりぎり僕が入れそうな難易度

でありながら、

  ○ 進学実績が非常に良い

  ○ 財界の出資で全寮制なのに学費が安い

という訳で。

 まあ親としていい感じの性能数値(スペック)だったらしい。


 佳奈美の真の目的は僕にはわかっている。

 彼女は単に家から出たかっただけだ。

 佳奈美の家は結構過保護。

 門限も夕方六時三十分だ。

 そんな生活よりは寮の方が自由だろう。

 志望動機がそこにある事に僕は全財産かけてもいい。

 僕の全財産とはお年玉の貯金七万円弱だけれども。


 しかし佳奈美は大人の前では優等生の芝居が上手い。

 成績も文句なく優秀。

 なので同じ生徒以外には見破られることもまず無い。

 でっち上げた理由を堂々と通す度胸も演技力も充分だ。

 佳奈美様の有り難い個人レッスンのおかげもあって。

 悲しいかな僕まで巻き添え受験で無事合格。

 そしてこの席に座っている、という訳だ。

 以上でここまでの悲しい経緯説明は終わり。


 さて、財界からの出資が多いという事で来賓がえらく多い。

 そして話がとっても長い。

 きっと今頃、佳奈美は真面目に聞いているような格好をしている。

 でもそれは外見だけだ。

 本体はきっと幽体離脱している。

 本当に魂が離れている訳では無い。

 脳内が全く別の妄想世界へ旅立っているという事だ。

 こいつの頭脳と妄想力は超強力。

 何度それに泣かされたことか。

 なお授業中も彼女はたいていこの姿勢でいる。

 万が一先生に指されても、板書等から問題を類推して即時に回答可能。

 彼女の頭脳では授業の遅い進度についていけないらしい。


 まあそんな訳で佳奈美のような術を使えない僕としては目だけ開けて姿勢を崩さず耐えるだけだ。

 立ったまま話を聞く事にならないで良かった。

 むしろそう積極的に考えよう。

 残る来賓は二人。

 そして最後の校長が終わればこの拷問も終了だ。

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