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山田くんの忘れ物
放課後、わたしと山田くんは飼育係の世話をしに旧校舎の裏庭に来ていた。
鍵の保管場所、扉の開閉のしかた、餌やりの道具、手順。
教えることはたくさんある。
学校の鯉は全部で大小あわせて8匹いる。小さな鯉に餌をあげようとすると、大きな鯉がやってきて横取りして食べてしまう。このため、餌のやり方にはコツがいるのだ。池のなかでも強いものが支配し、弱いものはひもじい思いをする。過去の自分と重ね合わせ、切ない気持ちになる。
山田は説明を正しく理解し、行動に移している。観察していて賢いことがよくわかる。お父さんは外資系企業の駐在員とのこと。
ひと通り、餌やりと掃除を終えて山田は帰っていった。
自分の携帯を置き忘れていることも知らずに...




