復讐と衝動
授業が始まる。
授業中、マリコはぶつくさ小言で文句を言っていた。
『おーい、それでは先週のテストの結果を返すぞ』
出席番号順に採点された答案用紙が配られる。
わたしは学校を休んでいたので答案用紙は配られなかった。
わたしの後ろはミズキである。先生がミズキの近くで小声でこう囁いたのが聞こえた。
『少しオマケしといたぞ』
先生はミズキを気に入っているようだった。
はにかむミズキを見ると妙に女々しくてムカムカしてくる。
それ以上に、依怙贔屓する担任を見ているともっとムカムカしてくる。
エリカに目を向けた。
エリカはマリコに対して裏切られたという思いが強く、平静を装っているものの、瞳の奥には何か邪悪な化身が身を潜めているようにジッーとマリコのことを見ている。この眼は獲物を見る目だ。
私はそれを見ると気持ちが悪くなり吐き気がして、居ても立ってもいられなくなった。
そして、我慢できず早退した。
でも、私の瘡蓋は少しずつ固化していくような気がした。
その日からまた学校を休むようになった。
ママからは、『自分の行きたいときに行けばいいのよ』と言ってくれた。守られているように感じた。
その後のマリコのことを考えると、申し訳ない思いで一杯になった。
でも、集団で苛められた過去の記憶を考えれば、マリコも自業自得だと自分のなかで納得した。それ以上に、エリカに一矢報いたことに清々しさを感じた。でも、サイトに書き込んでしまったことが一生残ることを考えると、本当に良かったのか複雑な気持ちになった。
また集団の蟻のなかで弱者が虐められる負の連鎖が生まれるのか。
結局、悶々と考えながら学校を一週間休んだ。
正直、もう学校をやめたいと思ったが、エリカに対する復讐がまだ終わっていないと考えると、学校に行かなければという強い気持ちが沸き上がってくるのだ。
でも、天国で見ているヨシエはどう思っているんだろうか。これがヨシエの望むことなのかと思うと、行動にブレーキがかかる自分がいる。ネットに書き込んでないと嘘までついて、自分は最低だ。




