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ばあちゃんが、親父に電話をかけてくれて、俺の気持ちを伝えてくれたらしく、久しぶりに耳にした親父の声は、酷く安心したような声音をしていた。
親父が俺のことをどう思っているのかとか、母さんが俺のことを本当はどうしたいのか、とか、そんな無駄なことを考えることそのものが、ガキみたいで、俺は考えるのを止めた。
……だから、親父に対応した俺の声は、感情を抑えた冷たいものであったかもしれなかった。
それでも親父は、久しぶりに俺と話せたことそのものに安心したようで、途中から、鼻声になっているのを俺も気づいていた。
―-親子揃って泣き虫だって事実に気づいて、少し絶望する。
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母さんとの話に、当然、親父は同行しないようだった。……俺もその方が良いように思う。夫婦の関係性なんてよくわかんねえし、親同士のそれらなんてただただ気持ち悪いだけ……だったけれど、母さんは、本当に親父に会いたくないんだな、と実感したように思えてずきんと胸の奥が痛んだ。
少し前まで当たり前だった俺の世界が歪に崩れていく様を想像するのは、……とても、怖い事柄に思えた。




