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親父が、朝方、俺の部屋の前で俺に声をかけて出ていったことに、俺は、気づいていた。
ばあちゃんに、親父が俺のことを頼む声が聞こえる。
俺は、眠り足りない頭で、どうしようもなく、それを聞いていた。
””
親父が居なくなったことを見計らって、そっと窓の外を見つめる。
親父の車がばあちゃんの畑の合間を抜けて走っていくのを見つめた。
まだ早朝のひんやりとした空気が、ひどく布団から離れがたくさせて、俺は、タオルケットにくるまりながら、泣きそうになりながら、外を見つめていた。
親父の車が見えなくなるまで、外をじっとみつめていたんだ。




