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 タオルケットの中で、声をころしながら涙を流して、ぐるぐると考える。


 親父の言葉が頭の中で何度も何度も繰り返される。


 —— 「……敏郎、母さんが、家を出ていったんだ……もう帰ってはこないかもしれない……お前には、選ぶ権利がある。……父さんと母さん、どちらと一緒に今後暮らしたいか決めなさい」



 ……とても、選べないと思った。


 ……だから、俺は、こんな風に、答えることから逃げている。逃げ出そうとしている。


 ……一人で生きていくことが出来る年齢なら、……どれだけ楽なんだろうと、下唇をかみながら、自分の力のなさを情けなく思う思いを、無理やり怒りに変えようとする。



 どうしようもない袋小路で答えもなくもがいている状況が、ひどく苦しくて、そこから逃れたいのに、どうしてよいのか解らない、だから、俺は、ぐっと下唇を血が出る程に噛み締めた。


 自分の力のなさが、悔しくて悔しくてたまらなかった。



 


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