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9.冷却

 僕は、エンジンの作動中に必ず作動する冷却装置をエンジンすら掛かっていないのにも関わらず

、同じぐらい熱の上がってしまった身体の熱をサーモスタットによって冷ますために心臓(エンジン本体)からラジエータへ循環するウォータージャケット内の冷却水をウォーターポンプを介して水温や水量を調節して、ラジエータに送り、何とか熱が上がりすぎてオーバーヒートになることを防いだ。熱が急激に80度ほどに上がったために、頭に熱がのぼったみたいにくらくらする。


 僕は、何とかふらふらする頭を持ち直して、おっちゃんに尋ね返す。


 「……おっちゃ、からかわないでくれよ。……僕としては、すごく大変な問題なんだ。……今も、田邉のことを考えるとイラつきとむかむかで、下手したらオーバーヒートするところだった!……僕にとっては、死活問題だ……」


 僕は、自分の身体の状態に心底、不可解に思いながら、うんざりする気分で、電気自動車のおっちゃんに語り掛けた。


 おっちゃんは、ううん……と唸って、僕の方を横目で見やる。


 「……ううん、お前さんに、わかりやすく説明……なんて、老年のわしに……まぁ、あれみたいなもんさね……例えば、ちょうどよい状態の混合器を噴射する、コントロールユニット(電子制御)によるインジェクタか、別のやと、キャブレータが動力に必要な分量のみを噴射するのう?あれの原理と同じで……負圧の大きさによって、吸い出される混合気の量が増える。……お前さん、普段から、田邉が大っ嫌いだなんて言っていたけれど、田邉が無反応だったから、そこまで、ぶつかった際の負圧の差を気にせんでいられたんだろう。……ところが、今度は田邉がお前さん以上の熱量(負圧)で、お前さんを嫌いと言い放ちおった。お前さんは、それによって、田邉から、嫌い以外の混合気のような何かを多めに吸い取ってしまったのかもしれんのう」


 「……なんだよ、それ……」


 僕は、ぐっと、下を向いた。

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