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唐突に、夕焼けの中、俺を羽交い絞めにして、苦しそうに謝る親父が、俺の親父ではないように思えてしまった俺は、唐突に、自分がここに居てはよくない存在なのではないかと思えてしまった。
—―俺は、親父にとって、迷惑な存在なのではないか……母さんにとっては俺は迷惑な存在だった。だから、母さんは置いて行ったんだ。……親父も、もしかしたら……
その予感は、思った以上に俺の中で、重たい鉛のように沈んで、俺は、上手く自分をどのように保って良いのか解らなくなった。
—―言い方がおかしいかもしれないけれど、……俺は、唐突に、俺が今まで色々な人に向けていた自然な対応を、どうすればよいのか解らなくなったんだ。
どんな顔をしてどのような表情を他人に見せて、どのように演じれば良いのか、唐突に解らなくなった。
……それは、そのような俺の中の変化は、本当に、唐突に、突然に俺の中でおきた。俺は、その日から、周りが解らなくなった。




