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——トシ、あんたはいつも、一番となりに居ろよ!
アーモンドアイの黒目がちな瞳が、くるくると光で滲む。小麦色の彼女の肌は、ほんの少し、色を薄めて。
あれは、夏の終わり。俺のかけがえのない彼女との思い出。
目を開くと、ぼーっとする思考を晴らすみたいに、朝の清廉とした空気が、ほの明るくあかるさを帯びて、工場を照らしていた。
つなぎだけでは、冷たいコンクリートの床は少し冷たいか……、とぼんやりとどうでもよいことを思う。
はー、と、頭をうなだれた。
……俺は、どうすればよいんだろうな……
誰か……愛美教えてくれよ……
……俺は、君を、忘れたくない
誰に言えばよいかもわからない、答えを得られないような問いを必死に願いのようにただ、念じながら




