4
——親父は、……俺が、自分より先にいくんじゃないか……そう心配している節がある。……絶対に口にはしないが……時々、異様な程、親父は勘が鋭くて、……俺が不安定になる度に声を掛けてくる……恐らく、気づいているんだろう。
……薄々、気づかれているように思うが、……今の、俺の若すぎる母さんは、俺を産んだ母さんじゃない。……親父とは、……今よりは、昔の方がずっと仲は良かったのかもしれない、
俺がまだ小学生の頃、……元々、あまり夫婦仲が上手くいっていなかったんだろう。……母さんは、俺を捨てて家を出た。その時のいざこざで、……未だに俺は親父と上手くコミュニケーションがとれない。
……それから……、俺は頭に浮かべたものをこらえきれなくなり、また、蹲る。
——最近、平気になってきたんだったんだがな……
……最近、色々、ありすぎて、……また、ぶり返してきてしまった……。
……そう、俺は、彼女を――
未だに忘れられない、彼女を――
……俺が……命を奪ってしまったも同然の彼女を――
面影を、面影ばかりを……追って……
未だに、深い色の海を俺は、直視することが出来ない
あの日のことばかり、フラッシュバックするように、
俺の頭を支配するから




