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6.勉強すること~好きになるためには(4)
「……変なやつ」
僕は、田邊の言葉にそうつぶやいた。田邊は、むっとした様子で立ち上がると、僕のタイヤをガンっと蹴って、僕をにらみつけた。
「……お前みたいな生意気な車の声なんか、一生聴きたくなんてなかった……!……お前は、俺のこと嫌ってるんだろうけどな、俺だって、お前なんか、大っ嫌いだ……!」
……僕は、自動車の自分が、そう言った田邊の言葉に傷ついていることを知って、僕は、自分の気持ちに戸惑って声なんか……、出せない。
車の身体が無理矢理分解されるみたいにばらばらにきしみ、鈍く割れるような気がした。