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55.静かな車内とコーヒーの香り

 静かになった車内は、小百合ちゃんの寝息と、微かなヒーター音、僕の車のタイヤの摩擦音それも窓を閉めているから微かに聴こえているきりだろう。田邊は、いつもはあまりしない、真面目な顔をして、すごく神妙な様子で、ぼんやり前を見ながら運転している。オヤジさんも田邊も煙草は吸わないから、カップホルダーには、コーヒー入りの紙カップが置かれているのみだ。車内にはコーヒーの香りしかしない。


 田邊が、すごく静かな様子で、口を開いた。


 「……なぁ、お前にいつか、話すって言ったよな……俺の過去」


 僕は、一瞬、田邊がなんと言ったか聴き取れなくて、少したってから、


 「うん、……言ったけど」


 と、応じた。


 田邊は、そっと、息をついて、僕に口を開く。ほんの少し、覚悟したみたいに。区切りを付けたいみたいに。


 「……それ、今、話すわ」


 僕は、ほんの少し、驚いたけれど、それ以上、口にはせずに、


 「ああ、聴きたいな。聴かせてくれ」


 って、言ったんだ。


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