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51.特別
私は、初めていろんなことを確認するみたいに、なんだか、すごく色々なことが、せりあがってきて、よく解らないけれど、今、こうして、田邊さんという人とこんな話をしていることそのものが、ひどく、何故かひどく大事なことのように思えてきて、同時に、急に、田邊さんが、どこか特別な存在なように思えてきて、よく解らない感情のままに、一気に顔が熱くなるような気がする。
急に、ひどく心もとないような気がしてきて、慌てて、田邊さんに背を向けると、手すりにつかまりながら、顔を俯けて、一生懸命、お礼の言葉を言った気がする。
緊張が何故か行き成りせりあがってきて、自分が何を言ったのかもよく覚えていなくて、その後、田邊さんと一緒に階段を下りて地上についても、あまり、顔を合わせられなくて、自分の状態に、自分で戸惑った。




