表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/116

28.比較 

 白い自動車は、私の顔をじっと見つめると、……それでも……、と、言葉を続けた。


 「……あなたは、とても、小さくて、お可哀想だけれど……私の方が、もっともっと、不幸で、可哀想だわ」


 私は、あり得ないものを見るかのように、その白い自動車を見つめたのだと思う。


 **


 「あなたが私なら良いのに。何故、私ばかりこんなにも不幸なの?」


 「私は、何故、こんなにも、何も持っていないの?」


 **


 私は、後ずさりをするように、後ろ脚をずりずりと少しずつ下げると、そのうち、くるりと振り向き、その白い自動車のもとから、気づくと駆け出してしまっていた。


 ……正確には、逃げ出したのだと思う。


 ……自動車の言葉を聴いていられなかった。……あまりにも、醜くて、あまりにも……幼い私の心では表現しきれないほどの、……なにかを、感じ取り、そこに引きずりこまれそうな思いがしたから……。


 ……私は、その白い自動車の傍にいることが怖く……なって。


 **

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ