11.言葉が通じた日。(1)
……僕の言葉が、田邊に通じた日。……そんなの……、僕だって、忘れたくたって忘れられない、
田邊は、嫌な奴だった。田邊は、免許を取ったその日から、僕に初心者を示す緑のマークを僕のボディにべたりと張り付けて、積極的に僕を乗り回した。
僕は、軽自動車だし、オートマチックだ。田邊は、初運転で僕を使うことにした。恰好悪いって散々僕の容姿をけなしてから。……僕は、そんなに嫌なら乗るなよっ!!!って、めちゃくちゃ大きな声で叫んだし、僕に出来るだけの抵抗を試みた。
あれだ、良く、馬が人を選ぶっていうだろ?僕ら自動車だって、乗ってほしい人と乗ってほしくない人っている。僕は、田邊に僕の身体を乗り回してほしくなかった。本当に嫌だったから、僕はエンストを意図的に繰り返して、なかなかキーを回してキュルキュル言ってもエンジンがかからない、なんて、抵抗を試みる。
田邊が、ポンコツッ!ってその時散々僕を罵るから、僕もめちゃくちゃに言い返してやった。お前の方がポンコツだっ!!!!って、めちゃくちゃに大きな声で!でも、ポンコツ田邊は僕の声が聴こえないみたいだった。僕は、散々抵抗を試みたけれど、田邊がなかなか諦めないから、僕はとうとう疲れて、諦めて田邊に僕のボディの運を任せた。……敷地内で駐車時に田邊が僕のボディを擦った回数は、22回にも及んでいた。……まぁ、免許を無事に取る前の敷地内での練習の時の回数だけれど、、僕が田邊に乗ってもらいたくない気持ち、わかって貰えると思う。田邊は、合宿に泊まり込みで免許を無事取り、今日、帰省したと思ったら、早速、僕を乗り回そうと試みているところだった。
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嫌だぁあああああっ!!!!!
僕の叫びを、おやじさんは、聞いているはずだっ!!!それなのに、無視している。僕はつらい気持ちを押し殺し、田邊に身を任せた。
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夜道を音もなく滑り出す。夜道をライトが明るく照らして……。僕は、意外に思った。
—-あれ、意外とスムーズ。ポンコツ田邊も進化するんだなぁ、
そう僕は思った。
田邊は、何か僕の知らない曲を車内で流し上機嫌で運転している。
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