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母さんに会ったら、先ずは何を話そうかと考える。親父と母さんが決めた母さんがこの部屋に来る時間は、後1時間後。考えるだけの時間は充分だったから。
ぼんやりしている間に思いつけたのは、母さんが好きだと言ってくれていた手料理を作ることだった。……俺は、料理が下手だったけれど、俺以上に母さんは壊滅的だったから、俺が母さんの為に料理を作ると、それはそれはこれ以上無いほどに褒めてくれて、嬉しそうにいつも残さずに食べてくれて、……だから、俺は、母さんに料理を作るのは好きだったんだ。
……お世辞にも上手いとは言えない、少し焦げ気味のプレーンオムレツをケチャップで炒めたケチャップライスに乗せた頃に母さんがまだこの家に居た頃のように帰宅してきた。
オムレツを割るときちんと半熟になってくれていてほっとする。上に手作りのデミグラスソースをかけると、母さんは、これまたいつものように嬉しそうに顔を輝かせた。
「敏郎は、相変わらずお料理上手ねえ。お母さんびっくりしちゃうわ~」
俺は、母さんが下手すぎるんだよ、といつものように言葉を返して、トマトスープと簡単なサラダを食卓に並べる。ドレッシングは母さんが好きなシソドレッシング。内心心臓をバクバクさせながら、俺は、母さんと向き合っていた。




