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 「……ただいま」


 スポーツバックだけ左肩にかけた俺が久しぶりの……俺と母さんと親父の家に帰りついて、ダイビングの戸を開けても、誰も出迎えてくれる様子は無かった。


 人気のないダイビングや台所は、まるでよそよそしくて、冷たい他人の顔をしている。


 ため息をついて食卓の椅子を引くと座る。荒れた様子のないその部屋は、冷たすぎて居心地が悪く感じる。


 ……母さんは片付けが苦手だから、荒れたキッチンを片すのは大体は俺の役目だった。……きちんと整えられたそこは、まるで別の場所に見えた。


 母さんの痕跡が消え去ったそこ。


 ……俺は知らなかった。人は、きちんと存在していても、傍に居たとしても、会おうと思わなければ消えたように会わずにいられるし、人ひとりのぬくもりの痕跡すら簡単に消せるんだって、俺は知らなかった。

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