邪神に挑む者達と世界の破滅
よろしくお願いします
1.
ある時、世界に新しい神が誕生した
死を振りまくそれは邪神と呼ばれることになる
―――――
現世に降臨し、ただそこに存在するだけで
何もせず周りに影響がなかったため
そういう神なのだと人々は思い込んだ
だがその神は降臨してからずっとあることを行っていた
それはこの世界に生きるあらゆるものの負の感情を
吸収し溜め込み続けていたのだ
―――――
長い年月が経ち、その神は無害であるとされていたころ
負の感情を取り込み続けていた神は行動を開始する
―――この世界のあらゆる生物を殲滅するために
絶望という名の希望を叶えるために
その神は魔力を放出し始める
魔力はその場に留まり続け吸収したものを死に至らしめる
―――それは生物が望んだ絶望を叶えるための力
―――――
近くに配属されていた兵士は見回りで
森の一部が一直線で荒れ地になっていることに気づいた
そこにあった木や草はなく茶色い地面が見えている
その道は片方は町へ、もう片方は神が降臨した丘がある
気になった兵士は丘へ行った
するとそこには神の姿はなく代わりに
動物の死骸と、とてつもない量の魔力だけがあった
兵士は神の事もそうだが丘の魔力が尋常ではないため
すぐに帰還し丘の魔力と神の姿が無いことを報告した
―――――
その神は町にたどり着いた
神は魔力を放出し続けている
神の魔力を浴びたものは突然に死んでいく
最初は小さな混乱だったがどんどんその混乱が大きくなっていく
混乱を収めるためやってきた兵士は目を疑った
目の前にはこの先の丘にいたはずの神と
人の死体だけであったからだ
兵士は剣を構えた、するとあることに気づく
この場の魔力の量がおかしいのだ
本来ではありえない量の魔力が存在していた
突然後ろでうめき声が聞こえてくる
後ろをみると部下がうめきながら倒れたのだ
部下から白い球の様な物が抜ける
すると前方にいる神に吸い込まれていった
次々にうめき声が聞こえてくる
部下や周りにいた人々、動物までもが倒れていき
白い球が抜け、神に吸い込まれていく
兵士は目の前の神の様な化け物が
他の町へ行ったらどうなるのか
この町のようになるのではないか
そう考え立ち向かうべく若い部下に
階級章とこの町の惨状と神についてを
緊急として国に報告させることにした
若い兵士はすぐに街を出る
この異常事態を知らせるために
残った兵士たちは目の前の神に立ち向かった
―――後にその魔力はあらゆる生物を死滅させる死の魔力と呼ばれ
―――邪神と呼ばれることになるその神に
2.
その神は生物には害となる魔力を放出し続けた
―――世界に住む者にとってその神は悪と呼ばれ
邪神と呼ばれるようになった
邪神が通った土地は生物が死に水や空気ですら侵されていった
生物は邪神の魔力を浴びその魔力に耐え切れず
内側から溢れ出る魔力に壊される
死の間際、負の感情を抱きながら死に絶える
身体と魂が分離し、その魂は邪神に吸収された
水や空気は死の魔力により侵された
水は取り込んだものにあらゆる病を発病させる病の水へ
空気は吸い込んだもの狂わせる狂気の風へと変化した
邪神に吸収されるものは魂だけではない
死ぬときに抱いた負の感情をも取り込んでいた
魂は魔力に変換され、輪廻の循環に戻れなくなり
邪神が成長する糧となる、邪神の魔力が生成され
その魔力と負の感情が混ざり死の魔力と変化する
そして邪神から放出された魔力は
その場に留まり続ける事となる
大地には魔力が多く、死の魔力には抵抗できた
だが生きるためには病の水や呪いの空気を
少なからず取り込まなければならず
少しずつだが蝕まれていく
その大地は後に呪われた土地とされ暗黒大陸と呼ばれる
―――――
暗黒大陸を生み出した邪神は今も魂を吸収し続け
死の魔力を振りまきながら歩き続けている
―――神としての使命、世界を解放するために
絶望の鎖からあらゆるものを破壊する
救世主として
3.
あれから3年がたった
邪神が降り立った丘があった国は
邪神が現れ滅ぼされた
それから邪神は亡国の村や町を
襲い、全ての人を殺しつくした
―――――
周辺国は邪神を討伐するため
一時的に手を組むことにした
敵同士であろうと邪神は脅威でしかなかった
邪神を討伐するためにあらゆる国から
名立たる英雄たちが集められた
聖騎士と呼ばれる者や賢者と呼ばれる魔術師
参戦すると必ず勝利するという傭兵など
さまざまな伝説を持つ英雄たちが集まった
集められた英雄は百人
これを多いと見るか少ないと見るか
だが少なくともこの場にいる者は
皆、一騎当千の力を持つ者たちである
人は望んだ、正の感情で希望を
死にたくない、神に死を左右されてたまるものかと
各国の王たちは宣言した
「人に勝利を、神に死を」
英雄たちは動き出す
この世界を賭けた戦いへと
―――――
邪神は力を付けていた
負の感情を取り込みながらも
人によって負の感情は違うものだ
それにより感じていた
強い、強い、感情の様な何かを
死の魔力の放出が一段と濃くなった
―――解放まであと少し
4.
邪神との闘い
多大な犠牲を払いながらも人は見事勝利した
だがなにかおかしい
邪神と倒すとその体は光となり消えていく
突然地面が揺れる、いや地面だけじゃない
魔力や世界までもが揺れている
我々は勝利したのではないのか
そう思ったとき声が聞こえた
「この世界に住む者達よ
私はこの世界の意思であり
あなた方が神と呼んでいた存在です
私は世界であり神でもあります
神を殺すことは私を殺すということ
ありがとうございます
私は苦しかった
あなた方は神は自分たちを救うものだと
勝手に決めつけ私に理想を押し付けてきた
限界だった私は私が救われ
あなた方が絶望する未来を望んだ
それが今殺したその神、破壊神です
あなた方が死んでも良し
もし殺されてもあなた方が生きる未来などない
私を恨むのは筋違いですよ
私を救うことを放棄した過去の者たちを恨むのですね
それではごきげんよう
あなた方に絶望という名の希望を」
世界は崩壊する
人々は抗ったが既に遅く
皆、希望を抱けず、絶望を胸に死んでいく
―――――
一つの世界が消滅する
消滅した世界の意思はまだ残っていた
世界は新しい世界を作るだろう
そう遠くない未来に
絶望が消え、未来を希望を抱いたその時に
―――――
『よく考えて選択せよ、【二度】同じ未来を選択することは出来ないのだから』
閲覧ありがとうございます
本来一話1000文字ずつの四話構成にしようとしたら
なぜか文字がどんどん減ってきたため一つの短編にしました
1と234の二話でもよかったかも文字が少ない事には変わりないのだが
毎回人側が悪く書かれますが良いところも入れられたかなと思っています…多分