亡国の話
カッベナ王国は、小さいながらも長い歴史を持ち、農業が盛んで、他国への輸出で富を築いた農業国だった。
しかし、周辺国の状況はある国の登場により一変した。
周囲の国は次々とホルシュ帝国という強大な軍事力を持った新しい国に滅ぼされ、農業国であったカッベナ王国は食料の供給源として帝国に狙われていた。
しかし、カッベナ王国は帝国の北に位置するハーベスト王国と同盟を結んでいたため、侵攻される事無く、滅亡の危機から一時的に逃れる事ができた。
そして、その期間に同盟国を増やすために何度もハーベスト王国に使者を送り、帝国への対抗同盟を他の国にも広げようと提案をした。
しかし、突然、ホルシュ帝国とハーベスト王国が協力し合う姿勢へと変わり、それと同時にハーベスト王国はカッベナ王国への同盟破棄と降伏を伝えてきた。
カッベナ王国はこの要求を破棄し、他の国に助けを求めたが、ハーベスト王国と同盟を結んだ帝国を止められる国は無く、多くの大国が静観の姿勢を取った。
結果、カッベナ王国は王都へ侵攻され、王族は多大な犠牲を出しながらも、海路を使いベッツェ公国へ国王と王弟、王女の3人の王族と数少ない臣下達と亡命に成功する。
しかし、亡命先で国王はカッベナ王国を取り戻すことに執着し、王宮の地下にある非常用の執務室を利用しながら各国へ働きかけるが、前向きな返事を貰えなかった。
それに業を煮やした王弟は「平民として生きよう。」と国王に何度も進言するが国王は耳を貸さず、王弟は国王を見限り、魔法を使える王女を連れて、魔法で逃げ出そうとするが、逃亡中に王女とはぐれ、王弟は逃げ延びたが王女は連れ戻され、王女は逃げられないよう、魔法が使えないようになる魔道具の枷を付けられ、地下深くへと1人のメイドと共に閉じ込められてしまい、国王は死ぬまでカッベナ王国を取り戻そうと力を尽くすが、そのまま衰弱し、亡くなってしまった。
そして、王女は枷のせいかはたまた未練のせいか、リッチとなり、メイドも王女から離れようとせず、ファントムとなり、長い時をこの地下で過ごしてきた。
「ですから、私はリッチとなりました。そして、この子はファントムに。ですが、私はこの枷が原因でここを出られません。ユリエールも私から一定の距離以上は離れられません。私達はここで永遠の時を過ごすしかない。そんな時にあなた達が現れたのです。」
全てを話し終えた王女は真剣な表情で2人を見つめ、一瞬の静寂に包まれて。
「私から枷を外して、私とこの子を助けてください...どうか、お願いします.....」
王女は深く頭を下げ、助けを求めた。




