転生した!?
真っ暗に生ったはずの視界に微かな光が入ってきて、その光を掴もうと、必死に手を伸ばした。
すると、何か温かいモノを握れた。
『これは、何だろうか。何か温かく、懐かしい...落ち着く....』
そんな言葉を思い浮かべた。そして、意識がはっきりして来て、目を開けると、そこには、白銀の瞳に、瞳と同じ色の髪で緩くウェーブがかかった優しげな表情で、私を見つめる絶世の美女が居た。
「ヒル!来て!私の指を握ってくれたわよ!」
指?あ、そうか。私が握ったのは、この美しい女性の指だったのか....ん?指?...
『!』
何故、私は人の指1本を握っただけで、手が一杯なの!?
まるで、赤ちゃんが大人の指を握ったみたいじゃないの!
それに、私は、死んだ筈じゃ....
.........
も、もしかして、私....転生した!?
自分の状況を把握し、驚いてる間に、王冠を頭にのせたダンディーな灰色の髪に青い瞳の男性がやって来た。
「ほお、儂にもしてくれんか。」
私は驚愕のあまり、父親と思しきダンディーな男性の差し出された手を、握れなかった。
すると、眉を下げて落ち込んだような困ったような顔をしてしまった。
「ヒル。もう、娘に嫌われてしまったみたいね。」
「ソフィ!儂はもう、生きて行けぬ!娘に愛されぬ父親など、生きる価値は無いのだあぁぁぁあ!」
頭を抱えて、膝を床に付けて嘆く父親は、余りに可哀想で、心の中で『嫌いじゃないですよ』と慰めの言葉を送った。
「あらあら、娘に嫌われたくらいでその調子だと、この先、私が持ちませんわ。」
ため息混じりに母親は、父親をジト目で眺めていた。
『なんだか、波乱万丈な人生が待っている気がする!』