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彼女とネコは高いところが好き  作者: 二ツ木線五
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scene 沢瑠璃-1

 私は、ちょっとムカついていたというかちょっとすねていたというか、自分でもよく分からない気持ちだった。

 おでんは今日も結局見つからなくて、司と理塚のやつとの三人でコンビニまで戻ってきたのだけれど。

「でも、沢瑠璃さんにはゴメンだけどなんか楽しかった」

 と司。

「悪い。結局役に立たんかったけど、でオレも沢瑠璃に謝ったほうがいいか、沢瑠璃には悪かったけどオレもそれなりに楽しかったぜ」

 と理塚のやつ。


 理塚のやつは中学のときからバカだろうなと思っていてこうして実際に話すとやっぱりバカだったから仕方ないけど、あろうことか司まで探すのが楽しかったと言う、おでんが見つからなかったのに。

 ……でも、私がムカついてるのかすねてるのか自分でも分からない気持ちでいるのは、実はそのことじゃない。

 ……私も楽しかったのだ。


 司から友だちを一人連れていってもいいかとメールがあった時、私はすぐに拒否った。けれど、それなのに理塚のやつはひょこっと現れた。

 さすがに私も司と理塚のやつが友だちだなんてびっくりしたけど。

 ただ、私からすればせっかくの時間を邪魔される感じで、だから最悪だ、なんて初めは思った。会話相手だって、両親と司以外にほとんどいなかったわけだし。


 けれど実際に三人で話してみると、……楽しかった。分かった、認めます、楽しかったです!

 自分が中学の頃を思い出してしまう。今みたいな性格じゃなかったあの頃の私をふと思い出してしまう。


 それが悔しくなってきたので、「けど、オレほとんど役に立たなかったな」とかのたまう理塚のやつに「ほとんどって言葉取り消してもう一回言い直せ」と言ってやったら、声をつまらせた。ざまぁみろ。でも実際に理塚のやつは、今自分で言ったとおり役に立ってなかった。司がせっかく見つけてくれて指までさしてくれたのに、「え、どこだ? マジかよ、どこだよ」などとドタバタするだけで、結局私だけが追いかけるだけになった。おかげで追いかけるのに手間がかかっておでんの姿を見ることもできなかった。ホントになんてことしてくれたんだ、私はおでんの姿をもう一ヶ月以上も見ていないっていうのに。


 時計を見ると、針はもう十八時半に迫ろうとしている。もう一つ回るのは難しい時間だ。

 今日もおでんを捕まえられなかった。なんでそこまで逃げるのだろう、そこまでヒドいことをしたことはないはずなのに。

「じゃ、オレ帰るわ」

 理塚のやつがさっと手をあげると、帰る方向が同じなのか司も「あ、じゃあ僕も一緒に帰るよ」と言った。

 ……ちょっとさびしい。とか思ったりしてしまう。


 これは司には絶対に言いたくないことだけど、司に初め声をかけたのは、ホントにただおでんを探すためであってそれ以外には全然興味を持っていなかったのだ。でも、彼とこの数日おでんを探すうちに、彼とおでんを探すのが少しずつ楽しくなりはじめた。まあ、オーケーて言ったのに高所恐怖症だからと言って断られたりなぜか手をつながされたりで「なんでだ!」ということはあったけれど、そして今でもやっぱり手をつなぐのは恥ずかしいけれど。


 楽しくなりはじめた理由は、実は分かってる。司がマジメなせいだ。マジメというか、スナオというか。私自身、言ってることがムチャだなぁと思ったりワガママだなぁと思ったりすることが時々ある。けれど、彼は文句の一つも言わずに付き合ってくれる。

 けれど、一番大きな理由は司がおでん探しをホントに必死に付き合ってくれることだ。

 彼は少し前にそれを、子供のときのあのことのお返しだと言っていた。そして実際にそうなのかもしれないけれど、ここまでイヤな顔一つせずに、どころかまるで自分のことのように付き合ってくれるとは思ってもいなかった。そんなだから、司とのおでん探しは私にとっての楽しい時間に変わりつつあった。こんな気分は、高校に入ってから初めて、かも知れない。


 ……だから。

 こうして司と別れるのはちょっとさびしい。……理塚のやつは、その気分のまあ百分の一くらい、としておこう。

 だから私は、「司、明日も探すぞ」とついぶっきらぼうに声をかける。「理塚光宗、お前は勉強頑張れ」とも付け加える。……ダメだなぁ、気持ちを態度で表すのがどうも苦手になってしまってる(理塚のやつは除外)。


差し込もうか結構悩んだ、沢瑠璃さんの小さなパートです。


さて。

ここから、お話のテンポを変えていきます、というか今までよくこんな展開で文字数使ったな、て感じですね^_^;

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