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微熱  作者: 是安
3/3

勇気

彼女とは、あれから全く話していない。

僕は、気持ちの整理ができた。もう、あの頃には戻れないだ。


そして、中学三年生になった。

付き合っていた女の子とは、別れた。

理由は簡単だった。僕が好きで無くなったらしい。

別れたあとは、僕の三年間の残りの期間は、ほとんど受験に向けて勉強していた。

そして、あっという間に秋になった。

その頃の彼女は吹奏楽部を引退した。噂によれば全国大会で名門高校の関係者に声をかけられて推薦で進学するらしい。

僕は地元の高校に進むつもりで必死で勉強に取り組んだ。

勉強したおかげで、受験には合格して、高校生になった。

気が付けばもう卒業だった。

彼女とは卒業式に少し進学のことで話すことができた。

もう僕はそれで十分だった。

もっとあの時について聞くことがたくさんあったけど、彼女は、本格的に音楽の道に進むために離れた高校に一人暮しで行くことを知った。

今さら、何をしても遅かった。

これで僕の中学生活が終わった。



卒業式が終わり久しぶりに彼女との思い出の特別な近道を通った。

思い出は色を塗ったように鮮明に思い出した。秋の夕暮れに狭い裏道や砂利道に短い髪彼女の横顔がカラーではっきり脳裏に浮かんできた。

そして今。僕は思い出に釣られて初めてキスをした公園に向かって歩いている。

公園までの道で初めて手をつないだ感触や彼女のとけない微熱を思い出した。彼女との思い出はカラーで鮮明に脳裏に写っている。

でも、彼女の声が足りなかった。

もう一度彼女の声が聞きたい。

もう一度。


公園のベンチには誰かが座っていた。

僕はその人の隣に座った。そして何気なく隣を見るとショートヘアーでつぶらな瞳の彼女だった。

ひどく動揺をした。心臓が速くなっている。僕の胸はいっぱいになって涙が出そうだったのをただ耐えるのに必死だった。

彼女の横顔は夕日で初めてキスした時と同じように赤っぽく見えて可愛かった。

「びっくりした」と可愛らしく彼女が言った。そのあとに偶然だね。と付け加えた。

僕はうん。としか言えなかった。

しばらくの沈黙のあと、僕は勇気を出して今まで聞けなかったことを聞いた。

「ここであったこと覚えてる?」

しばらくの沈黙のあと彼女は答えた。

「覚えてるよ。」

また、しばらくの沈黙のあと、僕が沈黙を紛らわすために

「吹奏楽続けるの?」と聞いた。

「約束だもん。続けると思う。だけど、そのせいで嫌われちゃったな〜」

約束?嫌われた?僕にはわからず

「えっ?」と不意に反応してしまった。

「だって、吹奏楽部に入部してから話さなくなったし。」

「ちがう。僕は逃げていたんだ。僕は君にキスして嫌われたかもしれないと思ってそのことを聞けずにいたんだ。」そう。お互いの勘違いだった。よかったというため息がすべてを吐き出した。

でも、約束ってなんの?という疑問になった。

そうだ。初めてキスした時、公園からの帰り道。

僕に彼女は中学生になったら吹奏楽始めたいって言っていた。そのあとに・・・

そうだ。大切なことを忘れていた。

そのとき、僕と彼女の思い出がすべてカラーで彼女の心地よい声が聞こえる。

すべては、僕の勇気が足りなかったんだ。一歩の勇気で過去の出来事も変わってくるんだ。そして、今彼女が隣いて、勘違いしていた三年間は今また、ゆっくりと取り戻しつつある。

今、僕と彼女は三年前と同じベンチに座っている。

そして、彼女の頭が僕の肩の上にのって僕の頬が彼女の頭に触れている。

彼女の微熱はとけていた。

読んでくれてありがとうございました。

実は似たような体験がありまして少しオリジナルをいれて書きました。

最後の約束は恥ずかしいので内緒です。

想像にお任せします。

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