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微熱  作者: 是安
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とけない微熱

彼女と出会ったのは僕が七歳の時、小学校一年生の始業式だった。

今でも鮮明に覚えている。

彼女は短い髪で男の子みたいな髪型で、目はつぶらで、肌の色は物凄い白かった。

僕は、初めて会った時は、『何か』を直感的に感じた。

その『何か』がわかったのは、いつかは覚えていないけど、おそらく一目惚れだった。

彼女とは帰る方向が一緒だったので歩いて30分の距離は、当時の僕にとっては、特別な時を刻んでいたのは間違いない。

彼女との帰り道は、いつも一緒に近道を探してた。

近道を探す僕は早く帰りたかった訳ではなかった。ただ帰り道に彼女と僕だけの特別な道が欲しかったのだ。

しばらく時が過ぎて三年生頃には、僕と彼女の近道は全て試し終わっていた。

それからは、寄り道をして帰ることにした。

僕と彼女の帰り道は近道でも寄り道でもどっちでも特別な道な事には変わりなかった。

彼女との日々はとても心地よかった。

意外な事に初めて彼女の家で遊んだのは、四年生の時だった。

それからは約束をしなくても毎日ように彼女の家か僕の家に行った。

それから、僕の休日は、公園で彼女のお父さんとキャッチボールをするようになった。彼女は白いワンピースと白いスニーカー姿でいつも決まったブランコで座って微笑んでいた。


初めて彼女とキスをしたのは、六年生の秋の帰り道、僕と彼女は誰もいない公園に寄り道してベンチで二人っきりで座った。

彼女は相変わらずのつぶらな瞳に秋には寒いショートヘアーで長いマフラーを巻いしていた。

彼女は熱をだして顔は少し顔が赤かった。

僕が

「帰るか?」と聞いても首を横に振るばかり。

僕はあったかいレモンティーを買ってきて彼女にあげた。

彼女はそれを飲まずにずっと持っている。

その手がとても小さくて可愛かった。

僕はその手をとって初めて手をつないだ。

帰ろうっか?と言いかけた時、彼女の頭が僕の肩にのった。僕は、頬を彼女の頭にのせた。

彼女の頭は少し熱くて僕の体が彼女の微熱をとかすことができればいいなと思っていた。

しばらくして、彼女が頭を上げて初めてのキスをした。

それから帰り道で、いつもの別れる道でもう一度キスをした。

今でも時々、当時の彼女のとけない微熱を肌に感じる。




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