彼女は知らない
人生という物語は、一人一人違う。貴方のはどんな物語?
私には好きな人がいる。それは幼馴染みの彼だ。でも彼はある日自らを天使名乗る者と共に世界を守る旅に出てしまった。彼は私に何も告げずに私を村に置いていった。置いていかれた悲しみで塞ぎこんでいたが、彼らの後を追いかけ一緒に旅する覚悟を決め村を出た。
村から街へと彼らを噂を聞いて回るが、彼らと合流する事は中々出来なかった。家から持ち出した路銀が底に尽きかけ、情報集めと路銀を稼ぐために小さな村に立ち寄ると、彼らとよく似た特徴の人が宿屋に泊まっていると言う。私は急いで宿屋に駆け込むと、宿屋の店長らしき人物が急に駆け込んだ私見て眼を丸くしていた。店長に事情を話すと彼らとよく似た特徴の人が、012の部屋に泊まってると教えてくれ、合鍵を私に手渡してくれた。
私は彼に最初どう声をかけるか考えていると、彼らが泊まっているという部屋の前に到着した。扉をノックし、合鍵で扉を開けるとそこには待ち望んでいた彼の姿があった。私は彼に抱きつき、『逢いたかった』と涙声で言った。彼は最初こそ抱きつかれた事に吃驚していたが、『僕も逢いたかった』と言いながら抱きしめ返してくれた。どれ位時間が経ったのだろうか。不意に彼は私の耳元でこう囁いた。
『君はもう村に帰るんだ』にわかには信じられない言葉を聞き、私は顔をあげ彼の顔を見た。彼は今にも泣き出しそうな顔で言葉を紡いでいた。『君は僕の事を忘れなきゃいけない。僕は君を護りたいんだ』
私はその言葉を聞き、彼が何かに脅えていることに気がついた。…そしてそれで私は気がつくべきだったのだ。天使が居ないことに。
突然彼は頭を押さえ苦しみだした。何事かと私が彼に慌てて近付くと、胸に激しい痛みを感じた。胸に手を当てると赤い液体が手に付着していた。赤い液体が血と気付いた頃には、彼は私にとどめを刺そうとしていた。
私が頭を彼の方に向けると、彼は頭から角が生え、背中には大きな黒い翼があった。そして私は彼が村に私を置いていった理由を悟り、そこで息絶えた…。
意識が消える前、頭の中で声が響く。『折角彼が悪魔化して貴方を殺してしまわないように村に置いていったのに。彼は悪魔化せずに人柱となり世界を危機から護るはずだったのに』声の主は残念そうに言うのだった
end
続きは現在進行形で書いてるので、お待ちください><;