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思い込みの恋(全年齢版)  作者: 秋月朔夕


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 先程、わたしが最後まで言い切らなかったせいで彼の逆鱗に触れた言葉。それをもう一度口にするのは凄く勇気がいることであった。

 だけど、このままなぁなぁで終わらせたくなかったから。

 真実、彼と向き合うと決めたから。

 ーー覚悟を決めて、彼と対峙する。


「わたしと蓮くんの関係は最初から歪だった」

「それは……」

「だからね今までの関係を終わらせて、一からやり直したいの。そのために今度はわたしから告白させてください」



 目を丸くした彼に、そんな顔も可愛いと思う自分は恋に浮かれているのかもしれない。

 だけど、生涯初めての恋なのだ。

 どうしたって心が浮き足立つ。



「アナタが好きです。だからわたしと付き合ってください」



 頬を赤らめて、彼に想いを告げる。

 わたしの鼓動は今や蓮くんに負けず劣らずに大きなものになっている。

 きっとそれはわたしが彼の鼓動が聞こえるのと同様、彼にだってわたしの鼓動が聞こえているのだと思うとなんだか恥ずかしい。



「…………一花」

「はい」

「その言葉は本当?」

「そんなタチの悪い嘘なんか吐きません」

「ああ……嬉しい!」


 背に回された彼の腕。その力は彼の喜びを表すかのように強いものである。ともすれば痛いとも感じるけれど、彼に求められているのだと思うとわたしも彼の背に腕を回して、喜びに浸る。



 しかしそれも束の間。

 ずるずると彼の力が抜けていく。



「蓮くん……っ?」



 突然のことに驚いて何度も彼の名を呼ぶ。

 どうしよう。先生を呼んだ方がいいのかな、と右往左往していると、穏やかな寝息が耳に届いた。


(……もしかして寝ているだけ?)



 よくよく彼を見やれば、目の下にクマが色濃く残っている。

 倒れたわけではないのだと知ると安堵から息を吐く。そのタイミングで昼休みが終わることを知らせるチャイムが鳴った。


 彼の頭をわたしの膝に乗せて、授業に出席するか悩んだのはほんの一瞬。わたし達二人が付き合ったという噂はもう学年中に知れ渡っている。否、彼の人気を考えると学校中かもしれない。

 その噂が流れた当日に二人揃って午後の授業に出ないのは更に噂話を加速させるだろう。

 けれど、せっかく想いが通じたのだ。

 離れたくない、と思ってしまった……。




***


 結局あの後。三十分を過ぎた頃、見回りの先生に授業をサボっていることがバレて、わたし達は二人揃って怒られた。

 反省文を書いて今日中に提出するようにと言われたものの、怒られた時間がそれ程長くなかったのは、六限目の授業が残っているからだ。


 それぞれの教室に戻るとクラスメイトが、わっとわたしの周りに集まって噂の真相を聞こうとする。

 その姿に苦笑しつつも、一つ一つその質問に答えてく。



 だってわたしは蓮くんと付き合った。

 そうなれば、きっとこの先も『葉山蓮の彼女』として否が応でも注目される。

 ならばこそ、いつまでも逃げてはいけない。

 


(わたしは蓮くんの『彼女』になったんだから)




 想いを告げた時に覚悟は決まった。

 この先も彼の隣に立つ覚悟を。

 わたしは自分自身で決めたのだ。




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