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思い込みの恋(全年齢版)  作者: 秋月朔夕


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 日差しが穏やかな午後に何故かわたしは今日呼び出された子とお昼を一緒にしている。



(どうしてこうなった?)



 わたしを呼び出した彼女達はレジャーシートを敷いて、お弁当やパンを取り出していた。その上、わたしにも話をしてくれるお礼だと購買のデラックスカツサンドや一日三十個限定の超人気プリンにおにぎりと惣菜パンやお茶を提供してくれている。

 自分が持ってきた弁当があるからと断れば、じゃあプリンとお茶だけでもと押し切られ強引に横に置かれた。



(いや呼び出しの後に教室戻るのも気まずいからお弁当持ってきていたけど、まさか一緒に食べることになるなんて思わないじゃない。もう本当になんなの。一体なんでこんなことになったの)



 女の子同士でお弁当を食べるなんて中学生の時以来だ。呼び出しよりも遥かに緊張する。




「あの……本当に蓮くんとのこと聞くだけの為に呼び出したの?」



 そうだ。彼女達は彼の取り巻きだったはずだ。ずっと一緒に居るはずだし、わたしの持つ情報なんて聞こうと思えばすぐに聞ける。それなのにどうしてわざわざ食べ物を用意して呼び出したのか。好奇心から尋ねれば、彼女達は驚いたように顔を見合わせる。



「やだ! もしかして、あたし達が蓮様と付き合いたいと思ってるって誤解してない? 言っとくけど、あたし達はただのファン! 近くで関わることの出来るアイドルを拝んでいる感じ! 言うなら信仰対象!!」

「そうよ。そんなの解釈が違う! あたし達は知りたいだけなの。彼女と過ごす彼氏の蓮様の言動を!」

「そうそう。彼ピである蓮様がどんな感じか知りたいだけで、付き合いたいとかはないから! っていうかそんな過激派消えたし?」




 ぶんぶんと勢いよく首を横に振る三人の目は嘘を言ってないように見える。彼女達にとって、きっと蓮くんは『推し』なのだろう。だからこんなに情熱的に語れるのだ。



(っていうか過激派って去年の秋くらいに校舎裏で鉢合わせた人達なんじゃない?)



 そういえばその人達をずっと見ていない。

 取り囲まれていたマネージャーの子のことばかり気にしていたから、すっかりその人達の事を忘れていた。




「あの、それって……」

「蓮様が過激派の人達を怒ったらしいからねぇ」



 尋ねようとした言葉は熱を帯びた彼女達のトークで遮られた。



「普通に考えて馬鹿じゃんね。蓮様のサポートをしてくれているマネージャーの子を虐めといて、蓮様と付き合えるなんて絶対ナシ! っていうか蓮様はそんなのと付き合うような男じゃないし!」

「そうよ! 大体いつも蓮様にひっつき回って蓮様の邪魔ばかりして」

「それでファンクラブの大多数からも睨まれて学校で居場所なくして転校したんだから。まぁマネージャーの子も語学留学でロンドンに行っちゃったんだけどね」



 え、待って。情報量、多過ぎない?

 けれど話を推測するに、あれから蓮くんはマネージャーの子をきちんと守ってあげたということは分かって胸が熱くなる。




(きっかり守り切るなんて格好良いのね)



 思わず頬が緩んだ。そして彼のことを知りたいと思った。表面上だけではない彼の姿を。きちんと受け止めて答えを出したい。わたし達二人にとって何が最善か、を。




(もう無理かしら……)



 もしかしたら何度も自分勝手に別れようと言っておいて虫のいい話だと切り捨てられるかもしれない。

 だけどそれでも蓮くんと話がしたい。



(ちゃんと聞いたら教えてくれるかな。告白の本当の理由も、わたしのどこが好きだったのかも)

 


 彼女達の軽快な話を聞きながら、今後の事を浮き足立った気持ちで考えていると突然会話が止んだ。

 不思議に思って首を傾げれば、どうやら彼女達の視線はわたしの背後に向かっている。

 一体どうしたのだろうと振り返れば――渦中の人が立っていたのだ。





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