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思い込みの恋(全年齢版)  作者: 秋月朔夕


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 『呼び出し』に向かう足取りはひどく軽いものであった。

 それは彼のことばかり考えていて疲れていたせいもあるからだろう。

 



(呼び出しが気分転換なんて我ながらおかしいわよね)


 

 だけど教室に居たら噂の的になっていて落ち着かないし、のこのこと廊下で歩いていれば彼と接触するかもしれない。

 というより、もしかしたら教室までやって来る可能性だってある。そんな可能性のことばかり考えていたら休めるものも休まらない。



 今はとにかく彼と会わないようにしたい。


 そうでなければ噂も収まらないだろうし、わたしの心の平穏も保たれない。

 だからこそ彼女達に呼び出されたのは渡り船のように思えた。

 自分の意思ではなく彼女達に『呼ばれた』からこそ、わざわざ出向いているという表向きの用事が手に入ったのだ。

 これで万が一、彼がわたしとご飯を食べようと教室に訪ねてきても『避けた』から居ないということにはならない。

 

 

(わたしって卑怯者だったのね。知りたくなかったなぁ)


 こんなにも器の小さな人間だと思っていなかった。

 もう少しマシな人間だと思っていたのに。

 逃げてばかりの自分に嫌気が差しているというのに立ち向かう勇気がどうしても持てない自分がひどく情けなかった。

 逃げれば逃げるだけ後が苦しいことを分かっているくせに楽な方ばかり選びたがる。そんな自分がたまらなく嫌だった。






 呼び出しに指定された場所は校舎裏だ。恐らく人目につかないところをわざわざ選んだのだろう。

 わたしとしては蓮くんとが告白してきた場所であるからなんだか気まずいなと思った。



(っていうか、告白も呼び出しも校舎裏なんてベタ過ぎる展開じゃない?)



 そういえば、学年が上がる前にも校舎裏で囲まれていた子が居たことをふと思い出す。中心でブルブルと震えていたのは庇護欲をそそるような愛らしい顔立ちの子だった。転校したと噂で聞いたけれど、今は元気にしているだろうか。

 そこまで思い出したところで、はたと足を止めた。



(間に入ろうとした時、確か直前に誰かに止められた気がする……)



 今まで囲まれていた子のことばかり心配していたことと、止めに入ったことからやたら女子達に避けられるようになってしまったことに傷付いていたこともあって直前のことをついつい忘却の彼方へ追いやってしまっていたのだ。



 ――だけど、そうだ。


 あの時、わたしが話したのは――と思い出したところで目的地の場所に着く。



 既に彼女達はわたしを待ち構えるかのように三人並んでいる。

 空気はピリピリ張りつめており、目が合うと厳しい眼差しでこちらを睨み付けてくる。あからさまな敵対心を見せつけられた気がして、内心溜息を洩らす。



(こうなったらお昼休み消耗させたくないし早めに終わらせよ)


 でないとせっかくの休み時間が無駄になる。さっさと覚悟を決めて本題を投げ付けた。



「わたしに何か用?」

「白々しいこと聞かないで! 自分がなんで呼ばれたかの理由くらい、分かっているんでしょう」

「そうよ。早く教えなさいよ! 一体、蓮様がアナタにどんな告白したのか」

「彼女とはどんな風に休みを過ごしているのか! 彼氏となった蓮様がどんな顔をしてアナタに接しているのか! あたし達はそれが知りたいのよ!」




(……え、え、え。予想していたのと全く違う理由の呼び出しなんですが)

 



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