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8━①

お時間いただきありがとうございますm(_ _)m

宜しくお願い致します!

「滞在するのは初めてですか?」


神官は気軽に声をかけてくれる


「えぇ。なんだか緊張しますわね」


「皆さん最初は緊張されますけど、すぐに慣れますよ。良かった」


神官は安堵の表情を浮かべる



「あの、良かったとは?」


「あぁ失礼。いや、その、無視されるかと思いまして…」


「あらどうして?」


「あなた様は違ったようですが、貴族の方は色々と気難しいですし。」




本日の装いは、なるべく地味なものにしたつもりだ。それでも貴族然とした雰囲気には違いない。

まだ名乗ってはいないけれど、

知らないうちに威圧感を与えていたのかもしれない。



「ごめんなさい。少し派手だったかしら?」


神官の方は慌てて否定していた。


「いえいえ、派手だなんてとんでもないです。

そうではなくて…その…とても…お綺麗ですから」



最後は消え入りそうな声でよく聞きとれなかった。場違いな装いではないのなら、良かった。


着替えの服も簡易的なワンピースを用意している。

ここでは、着替えも一人でしなければ。


まあ、なんとかなるわよね


案内された部屋では、数名の神官達が書類作業に追われていた。

「ニコライさま、体験される方をお連れしました。

ニコライさまが神官長の所へご案内してくれます。私はこれで」


ここまで案内してくれ神官は、深々と頭を下げて

立ち去った。


「ありがとうございました。」



お礼を述べるマリーベルの元へ、ニコライが近づき声をかける。


「体験の方だとか?」


「はい。本日より宜しくお願い致します」


私は淑女の礼をとり挨拶をする。


「女神だ」「どこのご令嬢だ?」


チラチラと視線を向ける者や、ぼーっと見惚れる者、中には凝視している者までいる。


ここにいるとなぜか注目を集めてしまうようだ。



「お前達、手が止まっているぞ!」


ニコライは周囲に一喝すると、マリーベルへと向き合う。


「騒がしくて申し訳ありません。

私はニコライと申します。ここでは家名は関係ないので、ただのニコライとお呼びください」


端正な顔立ちをした綺麗な男性だった。

挨拶にも気品が感じられ、優雅な身のこなしに思わず目が惹きつけられる。


美形な方達をそれなりに拝見してきたけれど、

私が出会った中では群を抜いた美しさだ。


社交活動をしていないので、自分が知らないだけで、名の知れた貴族なのかもしれない。



「ニコライさま、ご挨拶が遅れました。マリーベル・マーティンと申します」


「━━━は?」



ニコライさまはまるで時が止まったかのように静止していた。


ニコライ様だけでなく、しーんと静寂に包まれた室内。


長い沈黙の後に、驚きの一言を漏らす。


ニコライ様の声と共に、




「嘘だろ」「あれが例の噂の悪女?」

「そういや、神殿に来るってあの神官長もビビってたよな」


「まじかよ」


周囲が一斉に騒ぎ出す。





ニコライさまが「ゴホン」と、咳払いをすると静かになった。




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