表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/56

27 ニコライ視点

カーギル侯爵家の次男━━世間では華やかなイメージだろう。


だが所詮は、庶子。


正妻の長男、3男(※書類上次男はニコライ)に比べたら私の存在などないも同然。


所詮は、ただのスペアにすぎない。


それでも、まだ母が生きているうちはましだった。


風当たりが強くなったのは、母が亡くなってからだ。


なぜ出て行かないのかと、義母より冷遇されていた。


唯一の救いは、義妹のミシェルだ。


彼女は、他の兄弟と接するのと同様に接してくれた。


多少、腹黒いところはあるが。


蔑んでくる義母や兄弟とは、違った。


父は、私には無関心だった。


何かあった時のスペアとして、問題を起こさず生きていればいいと。




そんな生活にも疲れ、私は母の実家へ世話になることにした。


いつまでも甘えるつとりはなく、働く決心をする。


王城勤めも考えたが……。


噂好きの貴族が多い中では、また生きづらいと判断した。


そんな時、神官長に声をかけられた。


私の境遇を気にせずに、雇ってくれた。


神殿は、家名を気にすることがない領域だと。



その時の私は、まるで天の救いだと勘違いした。


神官長の本性を見抜けなかった自分は、強がっていても世間知らずだった。



神殿は権力の及ばない特殊な領域。


その為、有力貴族はあわよくば、神殿を取り込もうと画策している。


神殿側は、そこにつけ込み多額の寄付と称して賄賂を受け取っている。


神官長は私服を肥している。


権力が及ばないとはいえ犯罪行為があれば、取り締まられる。


王家へ忠誠心の強い一部の貴族が、神殿を監視する動きがあった。 カーギル家も然り。


当然、私は父から命を受ける。


そんな貴族達の動きを察した神官長は、神殿に圧力がかけられないように、貴族達の情報を常に求めていた。


神官長は、侯爵家出身の私を利用するつもりで、神殿に雇ったのだ。


いつの間にか、2重スパイとなっていた。




神官長には、多少の恩は感じている。


だが、その程度の気持ちだ。


目を瞑っていたのは、生きる事に、疲れて━━

自暴自棄になっていたと言っても過言ではない。


だが、もう一度、昔のように、正しいこと、正義への信念を貫いてみようと思う。



生きる活力が沸いたのは、マリーベル様。


あなたに出会えたからです。



純粋なあなたの心に触れて、目が覚めました。


あなたに恥じる生き方はしたくない。


不正の証拠は、この書類が鍵となるでしょう。


必要なら、私の証言も。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ