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ニコライ様が、ご自分に対する噂を気にされているのでしたら、悪女と噂されている私はどうなりますの?


私の噂をご存知でしょう?


ふふふ、ニコライ様、実は今回神殿へ滞在することを決めたのは、とても浅はかな考えでしたの。



ある方に人並みになれ、と言われまして、自分の噂を払拭しようとこちらに参りましたの。   


ニコライ様は、私のことを噂と違うと言ってくださいましたわ。 私自身を見てくださり、耳を傾けてくださいましたわ。



ここでの経験は、私にとって初めてのことばかりで、とても充実しております。


それは、ニコライ様のおかげですわ。


ニコライ様には、感謝しかありません。

お優しい方です。



ニコライ様がもし、誰かに何か言われたとしたら、私が黙っておりませんわ!


こんな、私では、頼りないでしょうけれど……」


って、私ったら、勢いよくとんでもない発言を……。


思わず手を包むように握ってしまったけれど、

ど、ど、どうしたらいいのでしょう?


い、い、いつ離せばいいのでしょう、


何かおっしゃってくださいニコライ様。


ニコライ様は、ただ黙って静かに座っていた。


ドク ドク ドク と自分の心臓の音が聞こえる。  


手を、手を、離しましょう。


マリーベルは、添えていた手を離そうと動かす。



「⁉︎」


すると、マリーベルの手を今度はニコライが握りしめる。



その手の温もりが、嫌ではなかった。




私達は、目を見合わせると、手を繋いだまま、軽く微笑み合う。


「マリーベル様、あなたにお話しして、なんだか気分がすっきりしました。


これで、心置きなく自分の信念を貫けそうです。」


ニコライ様は先程とは違い、とても晴れやかな表情をしていた。


「マリーベル様。私も、あなたが誰かに悩まされるようなことがありましたら、黙っておりません。 例え相手が誰であろうとも。

私が、必ず、あなたを必ずお守りいたします。」



私に真摯に向き合ってくださるニコライ様。


真っ直ぐに見つめてくるその瞳には、とても温かい感情がこもっていた。


その瞳に見つめられると、落ち着かなくなる。


胸がこんなにざわつくのはどうして?


ニコライ様の瞳の中に、自分の姿が写っている。


たったそれだけのことなのに、なんだか嬉しくなる。このままずっと、私を見ていてほしい。


この気持ちは、何なのかしら。


「さぁ、難しい話はこれぐらいにして、ミシェルの元へ行きましょう。

ミシェルも、そろそろ文句を言いはじめる頃でしょう。」


ニコライとマリーベルは、手を繋いだまま立ち上がる。


そうして、手を繋いだまま一緒に歩きだした。




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