表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/56

22 アーサー視点

「失礼します。アーサー様ご報告が」



神殿から、戻ってきたか。


マリーベルがどうしていたのか、今すぐにでも詳しく聞きたい



はやるきもちを抑えて、何でもない風を装う。




「ビル、例の件のことか?」


「はい。」


ビル以外の者を、部屋から下がらせる。


皆が出て行くのを確認すると、ビルが傍に近づいてきた。



執務机の上に両肘を置き、組んだ手の甲に顎を乗せてビルへ問いかける。


「それで?無事に入り込めたか?」


「はい。マリーベル様のお側に、専属の護衛騎士を2名配属致しました。



今後は、マリーベル様の状況を逐一報告できるかと。」


「そうか、ご苦労だった。これで少しは安心できるな。」



「……」



何の返答もしないビルの様子を、怪訝に思う。


「ん? どうしたビル、何か言いたいことがありそうな顔をしているな」



「━━アーサー様。安心するのは早急かと。


単刀直入に申し上げます。 


実は、神殿に勤めるニコライ殿が、マリーベル様に懸想しているものかと思われます」



「はぁ⁉︎ な、なんだと! ニコライとは誰だ⁉︎


クソッ‼︎ やはり、マリーベルを神殿に行かせるべきではなかった。


マリーベルは私のものだ!


いったい私が何年想い続けていると思ってる?


そんなぽっと出てきた奴に奪われてたまるか!


こうなったら、閉じ込めてマリーベルに誰も近づけないようにするべきか…」


組んだ手を解き、

机に置いたペンを思わず握る。


怒りのあまり、ポキッとペンが真っ二つに折れる。





「アーサーさま、ニコライ殿は元はカーギル家に縁のある方です。

訳あって、現在はハリスン伯爵家に世話になっているようですが。   


あまり関わることがありませんでしたが、学園の同期生です。


なかなかの好青年で、ご令嬢にも人気の方だとか。そのお姿に見惚れる方も多いと聞きます」



「なんだと? 同期だと?

それなりに把握しているつもりだったが、あまり記憶にないな。


ミシェルの身内のニコライ……


敢えて私を避けていたか


もしかして……マリーベルの好みなのか?」


 「さぁ、そこまでは。マリーベルさまのお気持ちは、分かりかねます。」


ショックのあまり、ガンガンと机に額を何度も打ちつける。


「……マリーベル……どうしてだ……」


アーサーの悲痛な呼び声と、額を打ちつける音がしばらく執務室に響いていた。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ