ブレーメンの音楽隊を独創的な解釈で切ったらこうなった?
毎日、数話ずつ読まれてありますので、今は読みやすいように手直しをしております。
簡単に手直しをしてましたら以外に面白かったので特別掲載です!
*)ブレーメンの音楽隊
「あの有名な愚話があるだろう。あの話はうそだな!」
「オレグ、愚話ではないわ。寓話だよ。」
「そうだな。寓話ならいいのだけれども。あの話はドイツの悲話だぜ!」
「どうしてそういう解釈になるのさ。」
*十二世紀くらいから語り継がれている。=うそ。
*ハンザ同盟でブレーメンが栄えていた。=ハンザ同盟に加入したのは
1360年くらいである。つまり十四世紀になってだ。
*犬や猫が人の役に立つはずはない。=ペットとしての有用性のみ。
*ロバが夢を見る=没落貴族の人間が夢見たことのたとえである。
*ニワトリの存在が意味不明だが、例えばフランスから移動してくる時の
非常食だったと思われる。=地に這う豚を食べる農奴よりも、空を飛ぶ鳥
こそが貴族が食べる肉だ! という思考が普通だった。
*農家で金貨を数える泥棒=うそである。どうして外から見ただけで泥棒と
判断出来るのか。
*明かりの灯った農家。=農家にはろうそくを買う金は無い。貨幣制度がまだ
農家まで浸透していないから、買い物は物々交換だけである。
*ご馳走を食べていた。=本当である。
*金貨を数える=本当である。これは、農民が収穫したライ麦の代金を数えて
悦に入っていたのである。
*この家が気に入り、ブレーメンには行かなかった。=領地が金になったから。
以上です。読者の皆様もお気づきになられたと思うのですが……?
「よってだな。導き出される答えは、フランスの戦争から逃れてきた没落貴族が、収穫後の祝いの農家を見て強盗に入ったのだよ。そして金品を奪いご馳走を食べてしまう。味をしめた没落貴族は付近の農家を締めてしまったんだな。」
「オレグ、少し違うんじゃないかな。襲撃された農家とはこの地の領主みたいな金持ちの権力者の家だったんでしょう?」
「まぁ、そういう事だ。犬、猫を飼うのは貴族だけだろう。ロバは荷馬の代わりだな。」
「じゃぁ音楽隊とは、どういう意味なのよ。」
「宮廷の音楽の意味だね。移住してかの地で一旗揚げて宮廷の音楽を楽しみたい! という願望だろうぜ。」
「どうしてそうなるのよ。」
「この話を文章にしたのがグリム童話で1800年の事だぜ。なんで1200年から延々と語り継がれてきたというのもうそ八百だぜ。どうもグリム兄弟とは同じ没落貴族の末裔だろう。その証拠に話しを聞いて回ったのところがよ? 農家ではなくてさ、都市の貴族などの金持ちの嫁さんや婆さんだというじゃね~か。」
「そうだわね。可笑しいわね。どうして農家に取材に行かなかったのかしら。」
「それは簡単な事さ。知識が無かったのさ。おそらく字も書けなかっただろう。ま、書く紙さえ無い時代が中世だもんな。」
「そうね。当時は紙や文字は貴族のものだものね。」
「ああそうだよ。金貨を数えるのは農民ではなく領主の事だろうぜ。この逸話みたいな事を言い伝えに残すのは、貴族に対してはイメージが悪いからさ。領主が泥棒と呼ばれて、貴族は動物に置き換えているんだ。」
「そうよね、農奴はご馳走なんて一生食べれなかったのだもの。だから農家というのはやっぱりうそだよね?」
「この貴族はブレーメンに行かなかったのは、どうしてかな。」
「逃げるしか方法が無かった貴族だ、有能ではなくてバカだったのさ。きっとフランスの爵位も金で買っていたんだろう。小金で満足する貴族だったさ!」
「ブレーメンが栄えたのはどうしてなの?」
「小金に満足しない有能な者が辿り着いたのだよ。この俺みたいな商人がよ!」
「ほんとかな!」
「カトリック教会の教区の中心となる司教座聖堂を、ハンザ商人達が経済力、
政治力をつけて、カトリック教会の世俗支配を上回る程に富を築いたのさ。」
「ふ~ん、これが1358年にハンザ都市に加盟して、1404年にはもう富が溢れてローラント像や大きな市庁舎を建てたのね。」
「そうだね、1260年には都市ハンザが造られたというじゃないか。この1243年にはもう息吹が見てとれるだろう。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
「あぁ、物語を後世に残したのは農民ではなく貴族の修練の一環だろうよ。」
「お貴族様ね~ぇ。ご先祖さまを讃えていたのね!?」
最終的なハーメルンの笛吹き男はオレグだった……という落ちで終わります。
人狼夫婦と妖精 ツインズの旅 第67部 ドイツ・ハンブルク より抜粋。




