恩師が教え子に騙された一コマ
2023年1月20日
うちの麻生くんが又しても顰蹙を買ったそうで、真に申し訳ありません。
高校の部活の同窓会での一コマ。
「梅が結婚すると聞いたが、相手が誰か知っとるか~?」
「さ~私は知りません。」
彼女は私の同級生だが、クラスで一緒になったことはない。なぜならば……それは女子のクラスだったからで、部活の男女で別れての練習、偶には練習試合をしていた、それ位の付き合いだった。
顧問は森本先生、実姉の担任でもあったのだが、唯一、家庭訪問を実施された先生でもある。上の二行は先生が梅先輩の相手を探していた時の一コマだ。
梅*さんとは極希に部活で扱きを受けた、遙か年上の先輩だ。どうしてくっついたのかは知らない。
多分、私らが二十歳の正月の三日だと思う。この日は同窓会館で毎年恒例の部活の同窓会だ。
「こいつ、俺が梅の結婚相手を訊ねたが知らんと言いよった。」
「アハハ……すみません。」
「こいつが花嫁だったとは後で聞いて驚いたよ。俺に、しれ~つと嘘言っていたとは参った。」
「ウフフ……。」
「真顔でしらを切られたから俺には分からなかった。」
「アハハ……、」
……みたいな会話を思い出した。笑い顔も覚えているが……もう名前は出て来ない。こう……丸い顔で可愛い女の子だったのは今でも覚えている。
親父が図面を書いて現場監督して建てられた高校……今では建物だけが残っているという……。
寂しい世の中になったものだ。小さい時に建設現場のエレベーターに乗って街を眺めたのも覚えているというのに、少子化で廃校になっている。
序でに私の子供の小学校と中学校、廃校になって……小中一貫校になった。
恩師が教え子に騙された、ささやかな一コマだな。




