ハッピーバースデー 当たり前
「ハッピーバースデー○○ちゃん!」
誕生日を祝う事って当たり前だったんだ。
私、ずっと知らなかった。
生まれてきた日は嬉しい日だなんて。
何も知らなかった。
だって、そんな事教えてもらった事ないから。
いつも皆は、生まれてこなければよかったのにって、そういってたから。
私と引き換えに、私を産んだお母さんは死んじゃったんだって。
お母さんは色々な人を助ける偉い人だったから、たくさんの人に大切にされてたみたい。
私はそんなお母さんとは似ても似つかなくて、それにお母さんが出来る事が何もできなかったから。
だからみんな「生まれてこなければよかった」って。
でも、誕生日は祝う日なんだ。
皆、笑顔になって、美味しいものを食べて、豪華なプレゼントをもらうのが当たり前なんだって。
知らなかった。
ぜんぜん知らなかった。
嘘をつかれてるとかじゃないよね。
嘘だったら泣いちゃうかもしれない。
だって、私すごくうれしいから。
生まれてきてありがとう、なんてそんな事、今まで言われて事なかったから。
「ハッピーバースデー○○ちゃん!」
ねぇ、今まで祝われなかった誕生日の分まで、たくさん「ハッピーバースデー」って言ってくれる?