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1.小屋作りに向けて

 イザラクが来てから十日ほど経った後。

 宣言通り、大量の木材が届いた。明らかに普通の家が建てられそうな量が。


 唖然としつつ、お父様は森の件が落ち着いたら小屋を作ってくれると約束してくれた。


 小屋作りに取りかかる分、狩りに連れて行ってもらえるのはさらに後ろ倒しになるが、焦りはない。


 なにより自分の基地みたいでわくわくする。


 私のための小屋なので、好きなように作ってくれるそうだ。

 家具は外が出来てから考えるとして、まずは内観と外観の希望を描き出しておこうとペンを取る。


 ルクスさんと亀蔵の意見も取り入れていきたい。

 亀蔵を足元に呼び寄せ、ルクスさんに見えるようにまっさらな紙を広げる。


 ちなみに今日のルクスさんはドラゴンの姿ではなく、人型。服もワンピースではなく、イザラクからもらったお下がりをルクスさん用にリメイクしたものである。


 イザラクが来た翌日から作業に取りかかり、出来たものから確認のために着て過ごしてもらっている。今着てもらっているのは四着目。わりと上手く出来た自信作だ。


 何着も作業し、今ではすっかりルクスさんの感覚を掴めた。作業ペースも上がっている。

 尻尾の回りは少し余裕をもって、けれど足にはフィットするものが好みらしい。素材にも好き嫌いがあるようだが、イザラクとは好みが合うようだ。わりとどれも気に入って着ている。


 問題があるとすればシャツの方。

 幻影で出していたときはきっちりとした服を着ていたのに、首元が詰まった服が苦手のようだ。


 文句を言うようなことはないが、タイは勝手に取るし、ボタンはいくつか開けてしまう。

 顔もスタイルも整っているので多少着崩しても似合うし、服を着てくれているだけマシではある。


 だが新しいものを買う時はちゃんと本人に合った服を選ぶつもりだ。

 といっても大量にあるからか、新しい服の話題を出すと顔をしかめてしまう。何かキッカケでもなければ、当面は新しいものを受け付けてくれないだろう。


 だがいつか適当な理由でも見つけて彼専用のものを一式プレゼントするつもりだ。いつになるか分からないけれど、人型も成長するかもしれない。これから先は長い。キッカケなんていつか見つかるだろう。


 とりあえず今は小屋の内装である。


「私はこの前伯父様達から頂いた本とか今使っている本とかを保存する部屋ーー書斎みたいなのは欲しいかなと思っているんですけど、ルクスさんと亀蔵は何か作ってほしいスペースとか気を付けてほしいところとかありますか?」

「錬金釜を置くスペースの確保は必須だな。その周りには余裕が欲しい。資料や材料を収納する棚や作業台の設置も必要になってくるだろう。今後のことを考えるとやはり部屋を別に用意できるのがベストだな」

「錬金部屋は広め・棚や作業台設置予定っと。そういえば錬金釜のサイズってどのくらいなんですか? 土台部分とか排水部分って……あ、ホースとかいります?」


 錬金釜と聞いて思い浮かぶのはゲームで出てくる大きな陶器っぽいあれ。ゲームによって多少差はあれど、大体似たような形をしていた。


 ただまじまじと見る機会はなかった。

 一応生産系のゲームもプレイしたことはあるが、釜本体に興味を持つことはなかった。壁にドン付きになっているものに至っては調べられないし。


 だが製作・設置からするとなると、その辺りは調べておきたい。

 確保するスペースも違うし、ゲーム内では気にならなかった部分にも目を配る必要がある。


 前世の感覚で例えるなら、新しい洗濯機を買う時の感覚が近いかもしれない。

 確認を怠ると詰む。せっかく小屋から作ってもらえるのに、後悔するようなことはしたくない。


「サイズは自分の使いやすいサイズで作れば良い。まだ具体的に決まっていないのなら、スペースは広めに確保しておけ。土台部分はしっかり作らないと倒れるから気をつけろ。排水ホースは必要なく、基本的に中に満たした水はそのまま。魔力が蓄積するからな。汚れが気になるようなら上澄み部分をバケツですくい上げるのがいいだろう」

「なるほど」


 コクコクと頷きながら、重要ポイントをメモしていく。

 魔力が蓄積された水の上澄み部分を普通に流してしまって良いのかは気になる。

 だがシルヴェスターで使っている水のほとんどが魔法で出したものである。ここは突っ込んで考えずとも良いだろう。


 それを抜きにしても、錬金釜の近くには手を洗ったり、水を流す場所は欲しい。セットで記しておく。

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