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27.いつでもどんとこい

 生徒会の仕事がない日は授業後すぐに帰宅。

 生徒会がある日は図書館で時間を潰したりロドリーと魔物討伐に出かけたり。


 一度だけ、魔獣を愛でる会の人に頼み込まれて時間を取ったこともある。なんでも亀蔵の正面絵を会長の誕生日プレゼントにしたいとか。


 普段はスケッチブックを抱えている彼らもその時は大きなキャンバスを用意しており、いつもよりも気合いと熱意がメラメラと伝わってきた。


 それでも二時間でデッサン部分と簡単な色を決めてしまうあたり、さすがデッサン部隊としか言いようもないが。


 生徒会の集まりは週に一度で、他は各自で仕事をこなすそうだ。部活や課外活動を行っている生徒は空き時間に進めるそうだが、イザラクの時間割はギッチギチに詰まっている。


 自然と早く登校するか放課後に行うかの二択となり、週の半分は放課後に仕事を進めている。

 それでも入ったばかりということで仕事内容は少なく、今は内容を覚えているところだから時間がかかっているのだとか。イザラクのことだからすぐに慣れることだろう。



 今日はロドリーと魔物討伐に行く約束をしている。

 せっかく採取セットを購入したので、近くに良さそうな依頼があれば受けようかと話していた。


「じゃあ気をつけてね」

「イザラクも生徒会頑張って」


 イザラクと別れ、馬車に乗り込む。

 今日のためにロドリーも私もしっかりと宿題を片付けてきた。前回同様に荷物を置いてギルドで集合する。


「ウェスパル、ルクスさん。仕事はこれでいいよな?」


 先に来ていたロドリーがいくつか依頼を見繕ってくれていたようだ。すでに行き先は学園で決めてある。場所と依頼内容を確認してからこくりと頷いた。


「あのさ」

「どうした?」

「魔獣討伐の後、近くの村に寄ってもいい? クァルファル村っていうところなんだけど」


 地図を開いて「ここ」と指差す。

 地図を手に入れてから目星をつけていた場所の一つであり、サルガス王子ルートで死草の被害が確認された場所でもある。


 最も被害が大きく、生き残りはゼロであることから、発生源はこの村という結論に至った。

 ただ気になることもある。死草が発見された場所を地図に記してみたが、この場所からかなり距離が離れている場所も多い。地続きではなく、飛び石になっているところがほとんどだった。


 スカビオとファドゥールもそうだ。

 ゲームではちらっと触れられて終了だったが、どのように繁殖したのか。なぜ発生が確認されていない地域もあるのか。馬車の車輪に付着したにしてはおかしくないか。


 死草の性質上、詳しい調査が行われたのは焼かれた後のこと。不明点も多い。

 シルヴェスターの荒野よりもひどい、焼かれた直後の村のイラストが印象的だった。


 なのでその段階に至る前に確認しておきたいと思ったのだ。

 もちろん見つけたら直ちに焼く。すでにルクスさんとは話し合いがついている。


 ロドリーを巻き込むかもしれないことには躊躇したが、いかんせん王都から距離が離れている。


 私とルクスさんと亀蔵だけで出かければイザラクとお兄様が絶対に黙っていない。場合によってはお父様も出てくることになる。


 だからといってアカに乗せて行ってもらったら、何かあってもなくても『私達がその村に興味を持った』という情報がアカからお兄様に流れてしまう。


 アカは心の優しいドラゴンだけど、やっぱりお兄様の魔獣なのだ。見たことも聞いたこともきっちりばっちりお兄様に報告している。


 契約魔獣の鑑みたいな存在だ。シロだったら絶対こうはいかない。お兄様以外を連れ添って王都に来るほどには信頼されているのだ。


 ーーということで、お仕事のついでに向かうことにした。

 ロドリーには悪いけど、万が一死草が見つかった際にはギュンタ同様に秘密の一部を共有してもらうつもりだ。



「クァルファル村? 初めて聞く名前だけど、何かあるの?」

「ドライフルーツが有名らしい。ドーナッツに入れて食べるのだ」


 理由を聞かれるだろうと思って、クァルファル村については少し調べていたのだ。

 ちょうどドライフルーツが有名と出てきたのでその情報を利用させてもらうことにした。


 時期外れなので売っているのかは定かではないが。その時はまた別のおやつを差し入れよう。


「ああ、なるほど。この前のお芋のドーナッツ美味しかったもんな」

「ありがとう。出来たらまた週明けに持っていくね」

「楽しみにしてる」


 深く突っ込まれることはなく、ロドリーの了解を得られた。


 彼の魔獣に乗って目的地へと移動する。今回は王都の門からかなり進む。空を飛べる魔獣がいなければ放課後になんて気軽に行けない距離だ。


 こういう時、空を飛べる魔獣が仲間に欲しくなる。

 といっても今さら召喚する気にはならないけれど。錬金獣を増やすとしてもお父様とお母様は亀推しだろうし。


 いっそ羽根が生えた亀にするとか??

 そう考えて、すぐに否定する。錬金術で自分の好きな姿の魔獣を作れるとはいえ、好き勝手に弄っていいわけではない。それではまるでキメラだ。


 それは生物への、亀への冒涜だ。亀を亀として愛することこそが真の亀好きなのではないか。ルクスさんの背中にピタリとくっつきながら、亀蔵達に謝罪する。


 なんでも自分に都合のいい方向に進めようとするのは良くない。


 錬金獣とはいえ迎えるなら家族の一員として迎える覚悟がなければ。

 新たな家族として、神の卵を育てる自分なら簡単に想像ができるのだが。


 ルクスさんが生んでくれるかどうかはともかく、いつでもどんとこいである。


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