表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/175

19.ドラゴンの知識

目的地はアンドゥトロワさんに教えてもらった狩り場。西門を出て少し歩いたあたりに今回の獲物、ゴブリンがいるそうだ。薬草はもう少し先。


門に近い場所は駆け出し冒険者が多く集まるため、離れた場所の方が採取しやすいとのこと。先に薬草を採取してから門に向かって歩くことにした。


しばらく進んでから地上に降り、辺りを見渡す。

程よく門から離れているからか、アンドゥトロワさんに教えてもらった通り、沢山の植物が生えている。


「丸い葉っぱの、というとこれか?」

「そうだ。その横の、葉がギザギザしているものは解毒剤に使えるから取っておくといいぞ」

「ルクスさんって薬草も分かるんですね」

「簡単なものだけだ」


ロドリーは丸い葉っぱの薬草を、私は葉がギザギザのものをせっせと集めていく。取りすぎは良くないので程々に。


すると二種類の草と雑草に混ざって、とあるものが目に入った。


「ねぇ、この赤い実って何か知ってる?」


小さな赤い実がいくつかついている。辺境にはない植物だ。初めて見る。ロドリーも私の手元に視線を落としてからフルフルと首を振った。


「俺も初めて見た」

「ああ、それは毒だ」


遅れてやってきたルクスさんは平然と言い放った。


「毒!? こんなに美味しそうなのに」

「毒性はかなり低いから食べても死なん。下剤に使うこともある」


下剤か。あんまり使うことはなさそうだ。

ロドリーも持ち帰るつもりはないようで「食べないように気をつけよう」と呟いて薬草採取に戻っていった。



クエスト内容は薬草十本の納品。

十本を一束として四束作った。一人二束ずつ。解毒剤に使える方はどのくらいの値段がつくか分からないので二束だけ作った。


引き取り額が低かったら二束とも私が引き取って、解毒剤を調合するつもりだ。その時は薬草の方をロドリーに一束多めに渡すことに決まった。



話しながら歩き、ゴブリンを見つけたらサクサクと倒していく。

近くに生息しているコボルトとスライムも討伐証明があれば数に応じた報酬がもらえるとのことで、ついでにこちらも倒していく。


討伐証明はゴブリンとコボルトが左耳で、スライムが魔核だ。

討伐には亀蔵も参加している。呼びかけたら喜んで出てきた。亀蔵もまた魔物討伐を楽しみにしていたらしい。


倒した魔物は私が風魔法で攫い、同じく風魔法で作った網に入れていく。

倒す度に解体するのは手間がかかるので、ある程度溜まってから二人で解体していくことにしたのだ。


討伐証明の他にもスライムの皮とコボルトの毛皮は錬金術に使えるのでそちらも合わせて回収していく。ロドリーの手際の良さはなかなかのもので、お兄様と同じくらいのスピードだ。


不要な部分は私が火魔法で燃やし、完全に燃え切るまでおやつを食べながら休憩する。

私達は干しぶどう入りのスイートポテトで、亀蔵は干しぶどうだ。


「ウェスパルの作るおやつは初めて食べるものばかりで毎回楽しみなんだ。作り方、どこで習ってくるんだ?」


ロドリーはおやつを気に入り、早くも三つ目に手を伸ばしている。多めに作ってきて良かった。


「ドラゴンの知識で。ね、ルクスさん」

「うむ」

「ドラゴンの知識か! 食べ物にも詳しいなんてさすがはルクスさんだな」

「存分に褒めるがいい」


ルクスさんはもぐもぐと口を動かしながら適当に返事をする。人型で私達と一緒に歩いているので疲れているのかもしれない。


でも薬草採取も魔物討伐もアドバイスをくれるだけで、人型になった意図がよく分からない。


「ルクスさん、お茶のおかわりいりますか?」

「うむ」


ギルドに帰った後も結局その理由は分からずじまいだった。

だが得たものもある。ルクスさんに教えてもらった解毒剤に使える植物は薬草の二倍近くの額で引き取ってもらえたのだ。


「ねぇロドリー、このお金で採取セット買わない?」

「俺もそう言おうと思ってた。それから地図も欲しい。地図があれば学園でも空いた時間に仕事の相談が出来るだろ?」

「そうね。二枚買えそう?」

「ああ。といっても稼いだ分ほとんど全部使うことになるが」

「それはまた稼げばいいよ。すみません、採取セットと地図を二つずつください」


何事も初期投資は必要だ。それに私はあまり大陸の地図を見たことがない。今まで見る必要があまりなかったのだ。


だが地図があればロドリーとの相談がしやすくなるだけではなく、今まで見えてこなかった闇堕ちの謎が見えてくるかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ