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11.空調管理アイテムを作ろう

 ヒロインの移住は予想外だったが、今のところ、計画を大幅に変える必要性は感じない。


 なので、第二の目標であった小屋の空調管理アイテムを作ることにした。


 無害そうなヒロインよりも芋の未来である。


「それで、ルクスさんから見て、これで行けると思います?」


 私が作ったのは羽根のない冷風機っぽい何かである。

 メイン部分は水魔法と風魔法を組み合わせた。またそれだけでは湿気が取れないと、亀蔵と亀吉に耕してもらった土で湿気取りの石を作った。


 当初の予定ではまん丸い石を小屋の中にいくつか配置する予定だったのだが、お父様の強い希望により、亀の形となった。亀愛が強すぎる。


 多めに作って屋敷や私の小屋、そしてファドゥールとスカビオにもお裾分けすることにした。


 配りながら『最近、亀が観光地のキャラクター化しているような?」と思ったが、周りは特に気にしていないのでスルーすることにした。


「見た目は『変』のひと言に尽きるが、魔力はしっかりとこもっているようだ。だが効果のほどは実際使ってみないと分からんな」

「いきなり設置して芋が全部腐ったなんてことになったらシャレになりませんもんね」

「我の大事な芋を犠牲にするなどあってはならん」

「同じような環境で試してみた方がよさそうですよね。お父様~」


 こんな時はお父様を頼るに限る。亀蔵と亀吉と戯れていたお父様に声をかける。


「空調管理アイテムの実施実験をしたいので、芋小屋と同じような小屋をもう一軒作ってください」


 サラッと言っているが、家一軒建てるのは大変である。

 木材の確保だってある。今から伝えても来年になるだろうと思っていた。


「分かった」

「え、そんなにあっさり……」


 もしかして亀の像効果? そんなに嬉しかったのかな。

 いや、交換条件として新たな亀を要求しようと思っている?


 亀が絡むと普段より甘くなるからな~なんて考えていたが、そうではなかった。


「芋小屋問題はシルヴェスターにとって無視出来ないからな。それに上手く出来たら、我が領にワインセラーが作れる!」

「ワインの保管って温度管理が重要なんでしたっけ?」

「ああ!」


 力強い返事に、意外と期待されているらしいことを悟った。

 てっきり亀目当てに伸び伸びとさせてもらっているのだとばかり思っていたが、それだけではなかったようだ。


「頑張ろう」

「芋の未来のために!」


 ルクスさんは完全に芋しか目に入っていないが。


 早速芋小屋をもう一つ作ってもらい、そこに作ったアイテムを設置した。

 今年の秋に収穫した芋の一部をそこに置いて、一年間様子を見るつもりだ。


 ただお父様が自慢しまくった結果、スカビオ家とファドゥール家からも「欲しい!」と熱烈なオファーが入ったので、そちらの結果が出る方が早そうだが。



 空調管理アイテムの対価として、ファドゥール家からは鉱石など錬金術のアイテムになりそうなものを大量にもらった。


 スカビオ家には、以前からステータス向上薬の生成に役立つのではないかと目星をつけていた珍しい草の栽培を頼むことにした。


 しばらく経過観察をしてもらってから直さなければいけない部分が出て来るとは思う。

 それでも大量に材料が手に入ったのはありがたい。


 お父様に頼めば取り寄せてもらえるとはいえ、具体的にこれにしたいと思って手にする物と、手にしてから何にしようと考える物とでは、作る物やアイディアに差が出る。


 素材を部屋に並べながら、ルクスさんと一緒に話し合う。


「これ、何にしましょうかね~。あ、私達専用の車とかあったら便利ですよね!」

「馬車か?」

「引いてくれる馬がいないので、作るなら自動車かなと」



 魔核を作り終えた後、他にも錬金術で作ったアイテムがないかと領内を歩き回った。


 そこで、シルヴェスターで使っている馬車は錬金アイテムだと知った。魔獣の攻撃にも耐えられる特別製らしい。どうやらスカビオやファドゥール、王家も同様のものを所持しているようだ。初めて知った。


 探しておいてなんだが、芋小屋の空調管理アイテムといい、通信機といい、我が家には錬金アイテムが多い。


 お父様に話を聞いてみたところ、当時の王様が色々と優遇してくれたらしい。

 その時点で次の錬金術師が生まれる可能性はほぼゼロに近かった。


 今は大丈夫でも、この先シルヴェスターで何かあった時に通信機が壊れてたら伝えに来るのはスカビオかファドゥールなので、少しでも時間短縮できるように車輪を強化・合わせて車体も強化してくれたそうだ。


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