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時空(じくう)の旅人  作者: 抹茶
第一章 始まりの空間
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第三話 クラスメート達との再会

 謎の白熊からしばらく逃げ続けた俺たちは足を止め、後ろを振り返った。

 白熊の姿は見えない。ああ、どうやら逃げ切ったようだ。

 息を整え、涙を拭って俺は東悟を見る。


「東悟。本当に助かった。よく俺の場所が分かったな」

「急にお前の叫び声が聞こえてきたからな。急いで向かったんだ。そしたらなんだあの熊は? とりあえずそこらへんの倒木を投げといたが、まだ死んでねえよ。ありゃ」


 久木原東悟。身長190、筋骨隆々とクラス内だけではなく学校中で恐れられている存在。

 「番長」として学校外では不良グループを纏めており、喧嘩が無茶苦茶に強い。

 そんなこいつと俺は、ある理由で中学時代からの親友だった。

 

「東悟。聞いてくれ。……本田と霧山があいつに喰われた」

「なんだって!? マジかよ。だからあの辺血の匂いがしてたわけか。クソッ!!」

「ここが何処なのかもわからない。だが、お前がいたということはクラスの他の奴もどこかにいると思う。あの白熊の事を伝えないと!!」

「あれ? 高崎君と久木原君?」


 俺たちが話していた時、森の中から同じクラスの女子、矢島玲香やじまれいかが出てきた。

 比較的おとなしい女子だが、その可愛さしさから一部の男子に人気の女子だ。


「矢島さん! 良かった。大丈夫だったか!?」

「え? うん。この森のことはよく分からないけれど、特に何もないよ。何かあったの?」


 俺は矢島さんにあの俺が見たことをすべて話した。

 その中で、彼女は特に親しかった霧山の死にショックを受けたようだった。


「そんな、明日香ちゃんと本田君が……」

「この森には俺らのクラスが本当にいるようだな」

「あの熊は危険だ。他の奴が襲われる前に集合しないといけないんだ。矢島さん、他に誰かにあっていないか?」

「そ、そうだ! 二人とも。向こうに小屋があってね。そこに氷藤君とか白川さん達が集まってるんだ! 他にも残った人たちを探している皆に知らせないと!」

「本当か! 東悟。行くぞ。森の中は危険だって知らせないと!!」


 矢島さんに先導されて、俺たちは森の中の小屋に到着した。

 彼女が扉を開けると、中にはクラスメートである氷藤と白川さん、そして野田がいた。


「おかえり。矢島さん……ああ、あと高崎君に久木原君か。また会えて嬉しいよ」


 氷藤蛍士郎ひょうどうけいしろう。学年主席の秀才で、常に冷静沈着で口数は少ない奴だ。

 俺も言葉を交わしたことはあるが、なんだか頭の構造が違うなという感想しか出なかった。


「これで十九人ね。後十一人、見つかるといいのだけれど……」


 白川加奈子しらかわかなこ。文武両道で学年屈指の美貌を持つ女子だ。

 学校中の男子の憧れだが、ハッキリとした性格から女子にも人気が高い。


「よお正真。元気だったか? なんか焦ってるみたいだが?」


 野田隆介のだりゅうすけ。サッカー部のエースでイケメンだ。非常にモテるため、よくそれを自慢してくる。だが、少しバカなところがあるためフラれるのも早いと噂の男だ。

 白川さんの言葉から、どうやら大部分のクラスメートがここに居るらしいことが分かった。


「皆、聞いてくれ。実は……」


 俺は森の中で見た事を、その場にいた三人に話した。

 話の中で、三人も本田と霧山の死に衝撃を受けていた。

 けれど俺が話し終えた時、最悪の情報が外にいた三原雄大みはらゆうだいからもたらされた。

 あの熊が、また一人、食い殺したと。

 

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