第五十三話 閑話 クリスマス
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時はクリスマス、場所はスクエア本社、世間が浮かれる中で今日も私は仕事だったりする。
プロジェクトマネージャーの橘です。
用事あるなら全然休んで良いよと言われましたが、あいにくとその用事がないので堂々と働きに来ました。申し訳程度に飾られた社内で精々クリスマス気分を味わいます。
まあ、それなりに働くメリットはあるんですよ。手当が出ますしケーキも頼めば好きなのを用意してくれます。食堂も豪華なラインナップです。暇な人は多目的室で映画鑑賞もどうぞ。
「クリスマスプレゼントどうぞ〜。中は見てのお楽しみですよ〜」
「楽しいですよどうぞ〜」
ふとロビーに立ち寄ると、そこには顔も背丈も声もそっくりな二人組がサンタのコスプレをしてプレゼントを配っていた。
今話題の双子Vtuberのランさんとルンさんですね。
「私も貰えますか?」
「もちろんですよ〜……ルン、この方は」
「ええラン、聞かない声ね。きっと社員さんよ」
「プレゼントの中身は」
「失礼のないように、Aね」
「「どうぞ〜」」
というわけでAを頂いた。この二人はきっと内緒話が苦手な方達ですね。
私もお返しに何かないかポケットを確認しましたが、食堂の無料券くらしいか見つけられなかったので、それと名刺を一緒に渡す。
「え、橘さんですか!」
「あの!」
すると、意外にも好反応。私の名前は担当してる子達がよく口に出すのでそれを知っているのかもしれません。
「こうして直接お会いするのは初めてですね。プロジェクトマネージャーの橘です」
「やっぱり! そ、それじゃあ……」
「た、担当してるばーちゃるちゅーちゅーばーに、あのロイドさんがいるって本当ですか?」
「ええ、確かにロイドさんは主に私の担当ですが」
「嘘……凄い」
「ロイドさんって実在したんですね」
「スクエアの生み出した架空の存在かと」
人をそんな都市伝説みたいに。
「生ける伝説だもんね」
「ワリマジ(割とマジで)後世に名を残すよね」
「あの、これって聞いていいか分からないんですけど」
「ぶっちゃけどこまでが本当なんですか?」
「はい?」
「底なしの胃袋とか」
「不眠不休とか」
「どこまでが本当なんですか?」
「そうですね……全部ですかね」
「全ッッ」
「部……!!」
丁度その時、件のロイドさんからRINEが届きました。
『私ってもしかして、ハーレム主人公なのでは?』
そんなムカつく言葉と一緒に、自宅で年下の女の子達とケーキやらご馳走やらを楽しむ写真が幾つか届く。
楽しそうです。流石、クリスマスに配信をするのかどうか聞かれた時に、『あそぶ』とたった三文字でファンを黙らせただけはあります。カイザーさんもクリスマス配信してくれとコメントした方に『アンチかぁ、てめぇ?』と言っていましたし、一部の間では二人きりで聖なる夜を楽しんでいるのではないかと邪推されていましたが、写真の中は見事に女性だけです。さすがハーレム主人公なだけはあります。
十中八九カイザーさんは妹さんとクリスマスを過ごしているはずですが、いつもの言動と態度があれなだけあって誤解されやすい方です。もったいない。
丁度いいのでお二人に内緒でロイドさんだけの写った画像をお見せしました。
「え、合成ではなく?」
「3D……でもない」
「つまり、こういう方なのです」
「姉ちゃんどうしよう現実は伝説より奇なりだったよ」
「弟よみなまで言うな。あの、橘さん。いつか私たちもロイドさんに会えますか? 忍野 タメナラちゃんはもう関わりがあったみたいなんですけど……」
忍野さん、あの型破りな子ですか。なかなか初配信でやらかしてくれたようで担当マネージャーが頭を抱えていましたね。でも確かに、ロイドさんはああいう方を嫌いじゃなさそうですね。
私は、ロイドさんが全ての四期生に顔を出すといった旨を話された事を思い出しました。今更私も止めたりしないので早速好きにしているようです。
「会えますよきっと。近いうちに」
いや、本当に、すぐ会えると思います。
私の言葉に感動したお二人が手を取り合って喜んでいる姿を見て、改めてロイドさんの存在がいかに大きくなっているのかを実感します。
コラボを嫌がっていたあのロイドさんが懐かしく、なんだか微笑ましく思いながら、少し寂しさも覚える今日この頃。
……あーやっぱり私も彼氏とかそういうの作った方がいいのでしょうか。
虚しい気持ちになっていると、再びRINE。
『橘さんのケーキ、残しておくね』
……まあ、しばらくはいっかと、そう思いました。
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切り抜き
「どうぞ〜」
「プレゼントどうぞ〜」
「私にもくれるのかしら?」
「もちろんですどうぞー……ルン、もしかして」
「えすよえす。えすえすえす」
「S? ……そう、ありがとう。貰ってばかりでも悪いから、今度お返しするわ。貴方はアース・フェイスのスニーカー。貴女はケイトクローバーのハンドバックね」
「「な、ど、どうしてっ……!?」」
「あら、私ってさとり妖怪って設定じゃなかったかしら?」
「もう〜置いていかないでよぉミトちゃぁん! どうしてそんな小さい体なのに歩くのが早いのぉ」
「次小さいって言ったら殺すわよ」
「ふぇぇ」
「冗談よ。こういう時小さい子って、小さいって言われたら怒るものでしょう?」
「ルンルンルンどうしよう。もしかしてもしかして」
「おお落ち着いて、冷静に、深呼吸して、まだリーチみたいなものよ。だって三期生はまだ一人……」
「あれー、僕以外にも結構いるんですね今日暇なの。二人とも彼氏とかいないんですねやっぱり(ライバーってそういうの難しかったりしますもんね)」
「ふぇぇ……は?」
「貴方一回ちゃんとしばかれたらどうかしら?」
「ランはあんな男性にならないようにね」
「うん、気をつけるよ」
亀のような更新速度申し訳ありません。私仕事場でメモ帳を使って下書きを書いてそれを家でスマホにうつす作業をとっていたんですが、バレました。別にサボってるわけじゃないのにっ……よってその方法が取れなくなりました。辛い。
まあ言い訳です、はい。最近の感想を見れてないのも自分のメンタルの責任。お話的にもこれ以上の盛り上がりはないので、見切りつけちゃってください。というわけで誠に勝手ながら一旦ここで挨拶をしておきます。これまで読んでいただきありがとうございました。いつかまた会いましたら、その時は今よりも誠実になれているよう精進します。
完結にいつたどり着くかな……そうそう、更新速度が遅れたもう一つの理由は真理に気付いてしまったから。ぶっちゃけ、本物(のVtuber)見てた方が面白い!!




