次の攻略対象
あれからナバーロとは自然に話をする仲となった。
廊下ですれ違う時でも笑顔を向けて挨拶をしてくれる。
その事に対して嫉妬の目を向けるのはアメリアだった。
タダでさえ第一印象が最悪なのに更に婚約者であるナバーロに対して仲良くしているのだから普段から落ち着いた振る舞いをしているアメリアでさえも流石に苛立ちを隠せていなかった。
シエラとして最善の動きをしているがアメリアからここまで敵意を向けられるのは内心相当こたえていた。
それでも全員を幸せにするためにナバーロの好感度をあげる動きをどんどん行っていた。
「今のところナバーロに関しては順調だからここで次の攻略対象へのフラグを立てに行くわよ。」
ハーレイに次の人物について伝える。
「次の人物は1年次に1度フラグを立てて置けば後は3年生までそれほど気にする事は無い人よ。でも、1年次にフラグを立てて置かなかったらその時点でルートに入ることは出来ないから油断すると取り返しのつかないことになるのよね。」
ゲームをしていた頃もついつい他のフラグ立てに集中してしまいそのキャラの攻略ルートが無くなっているという事が多々あった事を思い出す。
「その方は一体どなたなのですか?」
ハーレイは事前に伝えられていた情報から予測は出来ていたのだが間違いがあってはいけないのでシエラに確認する。
「それはこのゲームの唯一の年下攻略対象であるユーリ・クラウスよ。」
年下という事は今現在で学園には入学していないのだがシエラのとある行動によってユーリの入学前に出会うことができフラグも立てられる。
「事前にお嬢様に聞いていた通りに下準備は行っているので何も問題は無いと思われます。」
ハーレイは自分の出来る限りの事を行ってシエラのフォローをしている。
シエラはそんなハーレイに対して全幅の信頼を置いていた。
「貴方が問題ないというのなら何も心配はないわね。私はこの世界で貴方のことを1番信じてるから。」
その言葉にハーレイはなんの反応も見せずに顔を背ける。
シエラは少し寂しい顔をしたが主人と従者の関係なのだから仕方ないと思い準備に取り掛かる。
「私も準備してきますので後ほど。」
ハーレイは赤くなった顔をシエラに気づかれないように平静を装いその場から離れた。
次の日が学園の休みであり早速ユーリとのフラグ立ての行動に移るため市街へと出てきたシエラとハーレイ。
本来ならアメリアと共にいる際にナンパに出会い一悶着起こしてるところをユーリに助けられるというイベントが起こるのだが既にアメリアに敵対視されているシエラが一緒に出かけられる訳が無いためハーレイに無理を言って街のゴロツキにナンパをしてもらうように頼んでいた。
「ハーレイが頼んだゴロツキはどれかしら?本来ならこの日にユーリも街をぶらついている筈だからここで騒ぎを起こせば出てきてくれるはずだけれど。」
シエラは依頼しているゴロツキの姿が見当たらないため辺りをキョロキョロ見舞わす。
「…確かに姿が見えませんね。これは渡した前金を持って逃げたのかも知れません。すみませんお嬢様。ここは一旦計画を練り直すべきかと。」
ハーレイはゴロツキなんかに頼むのではなかったと後悔する。
「ダメよ、今日フラグを立てられなかったら恐らくこの先チャンスはないわ。何か別の手を考えなければね。」
シエラが全力で頭を悩ませていると怪しげな3人組から声をかけられた。
「お嬢ちゃんなかなかいいお召し物してるじゃねえか。どうだい?俺たちと遊んでいかねえか?」
おあつらえ向きに求めていた野蛮なナンパ野郎が現れた事に喜ぶシエラと明らかに不機嫌なハーレイだった。