ココに居るだか?
前半の小ネタには元の話が有ります。うろ覚えです。(完全なオリジナルでは無いです)
◆キープさん&マリエ
早速、マリエを先頭にギルドから大通りに出て一つ目の角を西へ折れ、二つ目の酒場を通り過ぎて・・・北に回って東に折れて南に向かって歩いたら・・・大通りへ戻ってしまった。
(コレ、ギルドからまっすぐ来たら直ぐだよね?)先導してたマリエに囁く。
適当に歩いてたのを見透かされちゃった。流石、伝説の魔法使い。こんな線の、のたくった落書きを見て何かを悟ったらしいの。おもむろに落書きを取り上げて、今ココに居るんだと力説されたの。
(今ここに居るの判る?)と聞いて来る。
私にはキープさんの考えは判らない。「ここ?」と指さす。(僕たちは今ココに居てこっちの方を向いてるんだ)落書きを指差し、自信に満ちた口ぶりだ・・・・「う~ん・・・でもキープサン、私達ココには居られないよ?」
ココに居ると言い張るキープさんは絶対に引かないみたい・・・
仕方ないんで、落書きを地上に置いて、なんとかココに立とうと・・・・
僕は地図を地上に置いて乗っかろうとするマリエを制した。
(イヤ、僕が悪かった・・・)
まさか冒険者をやってて地図を見れないとは思わなかった。時間もかなり食ってしまったので近道をする事にした。今度は僕が先頭に立つ。
従魔が先頭を闊歩して主人であるハズの従魔士が後から引き連れられてる図はなんとも珍妙だ。
納得出来ずに居るマリエを引き連れて、石畳で整備された大通りを逸れてひとつ路地に入ると、大通りの喧騒は道を進むにつれ次第次第に遠くなっていった・・・。
来るか?テンプレ!ゴリゴリチートのこの身体。チョロインだかダメインだか良く判らなくなって来たマリエは良いハンデじゃないか? さぁ来い!!
「隠れているのは判っているぞ!出て来い!!」思わず声が漏れた。
声に呼応して、ガラの悪そうな連中が十数人ニタニタしながら現れた。如何にもの、みてくれで年齢もおっさんから少年っぽいの迄いる。
「ばれてちゃぁショウガねーなぁ」一番歳食ってそうな禿げ男が凶悪な面を更に歪めて開き直る。
「まさか、ねーちゃんみたいな可愛い娘があんな野太くて低い声を出すとは思って無くてなぁ?」
「なんですってー!」あんな野太い声と一緒にしないで!誤解を解く為一オクターブ高い声で「私のどこが野太くて低い声なのよ?」異論を唱えるマリエ。
「ス・スゲェ!なんてぇ音域の広さだ!巷で噂の歌姫メロリアも真っ青だぜ?」さらに弄って来る。
僕は声出せないからなぁって・・・頭を掻いてる場合じゃ無いでしょ?
「そんな事はどうでも良いけど・・・急いでるんで、道を開けてくんないかな?」私にはあの伝説の魔法使いが居るのよ?命知らずなバカは何処のどいつよ?これは心の中で叫んだわ。
「まぁ・・・俺達も暇じゃ無いんでなぁ。出すもんだしゃぁ~通らせねえ事もねぇ」テンプレも良いところだな、マリエにタイムを取らせる。「少し大人しくしてなさい」聞き分けの無い子供に言い聞かせるように優しさの中に厳しさも添えてそう告げる。 ん?彼らは大人しく私たちの話し合いが済むまで待ってたわよ?
マリエとキープさんが話し合いをしてる間にゴロツキっぽい連中も話あってた。
「な・なんか・・・ヤバくねぇっすか?」「自分の従魔と話してるぞ?」「見た目に似合わねぇ娘っ子だなや?」「アレが暴れたらただじゃ済まねぇなぁ?」「でぇじょぶだよ、[飼うベル]が付いてりゃ街中さ暴れられっこねぇ」
結局、通行料を払う事でこの場を収める事にしたの、だって(僕がぶん殴るとみんな死んじゃうからなぁって)なんてお優しいのかしら?伝説の超越者は思考そのものが違うのよ。
だから言ってあげたわ「銀貨一枚」そしたら、そりゃ梅の取引だって言うの?どういう事?って聞いたら
梅:この場だけで俺らとは、もう無関係。あんたらがどうなろうか知ったこっちゃない。それが銀貨一枚~
竹:この先のチンピラを牽制して威嚇して安全に通す。絡まれたら最低一回は撃退してヤルよ。そこまでで銀貨四枚~
松:目的の場所まで安全に案内する。まぁ、客人待遇だな。客人に怪我させたら俺らの名折れってもんよ。ワカンだろ?銀貨十枚+怪我人一人に付き銀貨一枚。
大きな街でも裏路地は面倒だなって勉強になったよ。今回は勉強代で銀貨十枚出してやろう。ってマリエにはそう言って置いた。実際は手加減が上手く行かない事と僕が飼うベルに縛られない。という事実を伏せたかったからね。
ちなみに目的の場所が薬師サマルと聞いたゴロツキ一行は何故か俺達には遜り、道を遮ろうとした奴らには「サマン様のお客人だぞ?オラオラ道を開けねぇかぁ」と威嚇していた。
なんでも、この界隈の者達は皆、サマンのクスリの世話になった者ばかりなのだそうだ。
こうして僕らは無事に薬師サマンの家へと辿り着いた。
読んで下さってありがとう。楽しんでもらえたら幸いです。