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伝説の魔法使いが脳筋だった件  作者: 六分儀・猫茸(ろくぶんぎねこだけ)
一十也=ストーンゴーレム、キープさんになる。
3/43

はやくも特典返上か?

都市伝説の魔法使いのハズなのに何故か脳筋。



*ここまで書き進めて気が付いたのですが・・・一十也好中年さんは

某ハ@錬の弟要素じゃんって思いました。


まぁ・・・生温かく・・・・ハイ(*´ω`*)

一十也イトヤゴーレム


 夜の水面に映る月は神秘的で美しい。右も左も判らない異世界の川中で、のんびりそんな感傷に浸って居られるのは幸運なのかなんなのか?人気がサッパリ無くなったところでもう一度船小屋を漁る。渡し船の利用者が忘れて行ったモノだろうか?大きめのズタ袋を見つけた。目のところに穴を穿てばマスクに見えない事も無いか? 

 ダメダ却下。それじゃぁまるで有名なカン@ダ様じゃないかぁ却下だ却下。


 街道に沿って行けば遠からず人里に出そうな手応えを感じて、少し元気が出て来た。船小屋の物色を早々に切り上げて早速繰り出そうじゃないか?と道なりに進んで行くと、街道の遙か向うから複数の足音が聞こえて来た。そっと道から逸れて身を隠して様子を窺う。


 やって来たのはイカツイ男達と縄をうたれた少女のようだ。この時、ラノべ好きな転生?好中年はピンときた。

 これはテンプレ遭遇イベントだ!間違いない。圧倒的チート能力でピンチのヒロインを華麗に救い出して目出度く特典返上の前触れだな?きっとそうだ、そうに違いない。


 だが早まるな。少女(多分美少女)は今のところ何かされてるわけでも乱暴に扱われてるわけでも無さそうだ。怯えて居るのは判るが、今ここで飛び出して人質にされても厄介だ。夜の川を向う岸へ渡るのは素人目にも危険だと判る。恐らく、あの船小屋で休憩なり仮眠を取る気なのだろう。


 ガラの悪い男達の何人かは獲物の少女に今直ぐにでも飛び掛かりそうな勢いだ。(チィ・・・飢えてるのか?ここでやっちまうか?)その中のひとりが少女に手を出そうとした瞬間。野太い悲鳴が上がり(えぇ?)チョッカイを出そうとした男の腕が夜空を舞っていた。

 

 男達のリーダーと思しき男の戦斧がチョッカイ野郎の腕を切り飛ばし、斧先をチョッカイ野郎に付きつけながらこう言い放った。

 「大事な商品に手を出すんじゃねーよ?」

 「あぁん?ピーピー煩せえなぁ」

 「腕無くしたんか?使えねーなぁ?」

 ヒュンと戦斧が唸ると今度はチョッカイ野郎の首が夜空に舞った。一連の騒動で声も無く気を失った少女の腰を乱暴に担いで男達は何事も無かったように船小屋へ向かった。


 イザコザが有った地点から船小屋まで少しだけ道が曲がっていた。直線で動けば先回り出来る。船小屋へ向かう途中、先程の事件を反芻してみる。


 あの男はヤバイ。チョッカイ野郎の腕を跳ね飛ばす前に、少女に石突で当身を食らさせてそれから斬り飛ばしたんだ。一瞬の動作でそこまでやってしまうとは・・・かなりの手練れだと推測する。

 テンプレ展開と安直に喜んでみたが、躊躇せず仲間を切り捨てて眉ひとつ動かさなかった。他のゲス野郎は萎れてアッチも萎れてそうだったが・・・勝てるのか?


 確かにゴーレムの姿で人並みの機動力を出してる時点でかなりのチートだとは思うが・・・正面から向かっても勝てる気がしない。石の腕や脚はそれなりの威力が有るし、斬られても痛くないし叩かれても少し崩れる程度だろう。負ける気はしないが時間を掛けたくなかった。ヤルなら速攻しかない。

(ゴリゴリのチートですやぁぁん)


 そう心に決めて、船小屋近くで人の頭くらいの石をスダ袋に入れ、船小屋の中で置き去られた人形の態で一団を待ち伏せ不意打ちの一撃に賭ける事にした。


 暫くすると件のゲス共が美少女を連れて船小屋へやって来たんだろう外が騒がしくなった。リーダーがテキパキと指示を出しそれにゲス共が文句も言わずに従っているのだろう。傭兵団か盗賊の一味だろうか?


 無造作に美少女を腰だめに抱えリーダーが船小屋に入って来た。これぞ天が与えた千載一遇のチャンスだ。


 ”ダンッ!!” 猛然とダッシュして間を詰める。

 

 「な・なぁんだぁオメーは!」素っ頓狂な叫び声を出して、少女を手離し、同時に戦斧を薙ぎ払うそして、その戦斧に空いた手を添え更に打撃力を増す。不意を突かれたとは言え、その反応の素早さは感嘆に値する。

 少女を離して1秒、右手を添えるのに1秒、

 

 2秒のスキ僅かな時間だが懐に飛び込むには十分な時間。薙ぎ払われた戦斧に合わせるように石の塊の右腕を力任せに振り切る。斧を持つ手が利き腕では無かったのが幸いした。戦斧は石腕との摩擦であらぬ方向を向き十全な威力を発揮できなかった。一方で鈍器のようにリーダーの顔目がけて振り抜いた石腕はその頭を四散させ、身体は糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ち血の海に沈んだ。


 残るゲス野郎は3人。その内のひとりが叫び声を聞きつけ扉を開いた瞬間。石の左腕が下から逆袈裟斬りの形でゲス1の顎を砕いて吹き飛ばし、近くに居たゲス2を両手で顔を挟むようにぶっ叩いた。二目と見られぬ死に顔を晒してゲス2は崩れ落ちた。


 その凶行を間近で見て、最後のひとりとなったゲス3は賢明にも一目散に逃げだした。当たるか?頭大の石の入ったズダ袋をゲス目がけて投げてみた。ズダ袋は物凄い勢いでゲス3の頭を掠めてあらぬ方向へ飛んで行ってしまった。


 「ありゃ」すっとぼけた声が漏れてしまった。失敗した。そう思った瞬間、ゲス3は掠めた頭から血飛沫をあげクルクル独楽のように回転しながら倒れ落ちた。(やったか?)それでも油断なく、慎重に近づき息の根が止まっているのを確認し安堵の息を漏らす。


 ストーンゴーレム?の身にはそこまで必要とは思えないが一応金目の物を漁って置いた。そして近くの石でもって頭を潰して置いた。ヤリたくは無いが、変なトコロでラノべ知識がアンデッド対策だからと囁いて来る。それを肯定し、残りのゲス共から金品と小袋を頂戴する。


 ゲス共から巻き上げた袋に金品を乱雑に放り込んで船小屋に戻る。少女はまだ気を失っていた。そっと小袋を少女の傍らに置いて、最初の位置に戻って気が付くまで少女を見守っていようかと思案したがこちらの情緒が不安定になりそうなので外からコッソリ見守る事にした。


 暫くすると、壁越しに少女が起きたのだろうゴソゴソ動いているのが判る。船小屋には灯りが常設されているのか?全く気が付かなかったが、やがてぼんやりと薄明り程度の光が漏れだした。少女がつけたのだろう。


 「気が付かれましたか?」前世とは違う野太く低い声が壁越しに響く。


 声を掛けたのは賭けだった。

お読み頂いて光栄です 楽しんでいただけたら幸いです。

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