表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説の魔法使いが脳筋だった件  作者: 六分儀・猫茸(ろくぶんぎねこだけ)
一十也=ストーンゴーレム、キープさんになる。
2/43

転生神サマ・・・・思ってたんとちゃうよ?

異世界転生でオラァワクワクしてたのに・・・なんかぁ思ってたんと違うぞ?


*ストーンゴーレムの姿形は一般的な奴を思い浮かべて下さい。

◆石詰一十也


 一十也は宛ても無く彷徨っていた。流石に何日も流離っていたので自分のカラダの事や食欲や睡眠欲が無く何日も平気で動き回れるこのカラダに付いては薄々とは気が付いていた。

 最初は異世界へ投げ込まれたと同時にメデューサかバシリスクかコッカトリスにでも遭遇して石化してしまったのかと思ったが、自由に動ける時点で違う事は明白だった。


 そっか・・・「人間じゃないんだ・・・」ようやく見つけた綺麗な小川で自分の姿を見てそう呟いた。なんか、思ってたんと違う。神様に文句言いたい気分だ。マイナスを考えたら確かにこの先の困難が目に見えるようだな。まず、人間社会に溶け込む事で苦労しそうだ。 声も野太くて低い。脅す行為には役立ちそうだが女を口説くに役に立つかは微妙だろう・・・そして何となく三大欲求の性欲が終了してる事を悟って膝を抱えた。

 

 2メートルを優に越えるガタイが夕焼けを背に膝を抱えている図は、事情を知っていれば滑稽を通り越して憐憫の情しか湧いて来ない。事情を知っていれば・・・だが。

 前世でも捨て切れず持て余してた特典喪失権を強制的に剥奪されたのだ。膝を抱えたくなる気持ち・・・なんとなくわかるぞ。(だが同士では無い。と断って置こうか・・・)


 物事は表裏一体。勿論、プラスだって有るぞ?まずガタイがデカイ。これはラノべで見る限りはアドバンテージのハズだ。変な雑魚は寄って来ない(と思う)。腕をぶん回すだけで凶器だ。(力加減がメンドそうだがな?)何と言っても飲み食いと睡眠が要らない。(素晴らしい!性欲も無いので男女間のトラブルも無いな?)ほとんど不老不死と思える吸血鬼だって、食事は摂らなきゃならない。一枚上手なんじゃ無いか?そう考えを巡らせると満更でもないかと思えて来た。


 数日間彷徨ってたが生き物らしい生き物に出会えなかった。小動物は恐れて身を隠し知性有る魔物も襲って来なかったが為だ。廃墟とは言え元要塞のあった土地だ、有力過ぎる魔物は駆逐されたのだろう、

そう考えていた。半分当たりで半分外れ。正確には一十也ゴーレムをそれなりに恐れていたから近寄って来なかったというのが正解なんだが・・・・余談の範疇から外れない。


 川の上流か下流に人里が有るかも知れない。そう考え夜の川にジャブジャブと入って行った。この身体はストーンゴーレムとアタリを付けたので性能試験も兼ねての強行軍だった。順調に川下へ下って行くが普通に地上を歩くより早い気がする。後ろから水流で押されているから早いんだと気が付いて、試しに川上を目指して進んでみた。二、三歩あるいた時点で諦め「川上に向かう時は普通に地上を歩こう」そう心のノートに書き留めて置いた。 


 暫く、進むとイキナリ水没してしまった、どうやら深みに嵌ったらしい。幸い息苦しさも感じないで動く事は出来たが抜け出すのに相当の時間を要した。「緊急時以外では却って時間を食うな」心のノートに書き留めておこう。

 そうして水面に映る月を友に暫く歩いて行くと簡素な船着き場っぽい桟橋に行き着いた。なるほど桟橋から先は他の川と合流してかなり広い河になっているようだ。合流地点で波が立って轟轟と音が聞こえる。

 船小屋だろうか?人の手の入ったと思われる建物の輪郭が濃い影になってシルエットで浮かんで見える。今何時かは判らないが明かりも漏れていないし人の動く気配も感じない。寝ていたら起こすのは不味いのでそっと足音を忍ばせて歩いて行く。幸い小屋には誰も居なかった。人家の雰囲気は無かったので対岸への渡しの時間だけ詰める簡易休憩所みたいなもんだろうと解釈。

 「そうすると・・・夜明けまでは誰も来ないかな?」ゆっくり物色できそうだと心の中でほくそ笑む。こういう所は清廉潔白からは程遠い思考らしい。(メモに書き留めておこうかな?)


 夜が白み始めた頃まで物色していたが差しあたって役にたちそうなものは部屋中央に有った間仕切り用の広めの布くらいだった。真ん中あたりを破り過ぎないように慎重に指で引き裂いて行く頭さえ入れば、きっと貫頭衣の替わりくらいにはなるだろうと期待しての事だ。


 それにしてもこの頭は無骨だ。せめて卵型くらいまで加工して欲しかった。そう思い水鏡を見ながら溜息をつく。夜が完全に明けて人の気配を感じたので川に潜ってやり過ごしながら、時々様子見に水から顔を出した時に溜息が出る位のガッカリ事案なのだ。


 この船着き場は思った以上に人の出入りが激しい事が判った。背負子を背負った行商人風の数人のグループや大商人なのだろうか?対岸(こちら側)に馬車を何頭も仕立て何度も往復する者も居た。勿論、農民風や貴族風、学者肌っぽい者たちもチラホラ見かけた。衣裳から教科書なんかで見る中世の頃の衣装に似ていた。とは言っても異世界、近世の頃に流行ったと思わしき衣裳迄幅が広い印象を受けた。


お読み頂いて光栄です 楽しんでいただけたら幸いです。


流離っていたのは二~三日位。その間に石と石が磨滅して、幾分スムーズに動けるように成ったようです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ